紙おむつを粉砕して下水道に
国土交通省は1月下旬、ディスポーザーと呼ばれる流し台の生ごみ粉砕機の技術を応用し、下水道に紙おむつを流す仕組みを検討する有識者会議の初会合を開いた。
使用済み紙おむつの保管やごみ出しの手間をなくし、家庭での高齢者の介護や子育ての負担軽減につなげる狙い。実証実験を経て、今後5年程度での実用化を目指す。
紙おむつは使用後、汚物を含み重量が増えるほか、不衛生のため、ごみ収集日までの家庭保管が負担となるケースが多い。そこに目をつけたのが下水道の付加価値向上を目指す国交省。紙おむつを細かく粉砕して下水道に流せれば保管やごみ出しが不要になり、少子高齢化への対応や女性活躍にもつながるとの発想に行き着いたという。
国交省は新たな仕組みとして、トイレ内に紙おむつ専用の粉砕機を設置することを想定。まずは高齢者が多い介護施設や病院などでの実現をめざし、将来的には一般家庭での普及も視野に入れるという。
課題は下水道の詰まり防止、紙おむつ素材の開発など
画期的にも見える仕組みだが、実現にはいくつものハードルが横たわる。下水道に流せるおむつ素材や強力な粉砕機などは新たに開発が必要になるほか、これまでより強い水流で流せる下水システムも不可欠。一般家庭で普及させるには、トイレ室内をリフォームせざるを得ず、家計への負担増が普及の足かせになるとの指摘も出ている。
有識者会議では、紙おむつを下水道に流した場合、下水処理にどんな影響が出るかなどの課題を洗い出すほか、実用化までのロードマップ作りを行う。初会合では「下水道がつまることだけはないように」「具体的なコスト試算は必要」などの意見が出た。
国交省は今後、他省庁とも連携して粉砕機や紙おむつのメーカーとも意見交換するほか、費用補助などの普及後押し策を検討する。紙おむつ以外のごみを流すといった不適切使用への規制も検討課題で、実証実験などを重ねた上で実現にこぎ着けたい考え。
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