シニアライフクリエイトは高齢者専門宅配弁当チェーン「宅配クック123(ワン・ツゥ・スリー)」を全国で運営している。同社は高齢者の豊かな生活や地方創生をサポートする目的から、コミュニティサロンを軸とした新たな取り組みを開始した。香川県の小豆島や高知県土佐清水市を皮切りに、全国で食ビジネスを通じた地域貢献に取り組む。
巣ごもりニーズを捉えてコロナ禍でも業績好調
シニアライフクリエイトは、高齢者専門宅配弁当チェーン「宅配クック123(ワン・ツゥ・スリー)」を全国で直営、FCを合わせて約350店運営している。
「宅配クック123」は、栄養バランスとおいしさを両立させた弁当を、おかずのみが540円、ご飯付きが594円(ともに税込)で提供している。外出を控えている高齢者のニーズを取り込みながら、コロナ禍でも着実に顧客の支持を獲得してきた。
同社の弁当は高品質かつリーズナブルな価格設定が魅力だ。加えて、絶妙な事業設計によって見守りサービスなどのきめ細やかな顧客対応や、過疎地を含む配食網の拡充も実現してきた。
創業者である高橋洋社長が目指すのは、ビジネスを通じた収益性と社会貢献の両立だ。それらのミッションが1つの形となったのが、高齢者向けコミュニティサロン「昭和浪漫倶楽部」である。
「巣ごもりで宅配弁当へのニーズが高まっていることは大変ありがたいのですが、外出不足の長期化によるお年寄りの身体機能低下のリスクが高まっています。新型コロナの終息状況を見極めながら、お年寄りが積極的に足を運び、コミュニケーションを図れる場所を作っていきたいと思います」
同社は2020年5月、香川県小豆島に直営店をオープンした。小豆島の南東部に位置する小豆島町は、町の人口全体に占める65歳以上の割合が4割を超え、自らの健康管理に苦労している高齢者が少なくないという。島内には専業の宅配弁当業者がほとんどないため、全国各地での実績を持つ同社が自治体と協議し出店に踏み切った。
現在はコロナ禍のためコミュニティサロンは稼働していないが「宅配クック123」と惣菜店の「福み味(ふくみみ)」を運営することで、早期の収益化を目指している。両業態の月商は約250万円と堅調で、「福み味」事業を中心に売り上げが伸長している。販管費を一元化することでコスト管理を徹底し、サロン事業の本格稼働に合わせて月商500万円を目標としている状況だ。
「小豆島に限らず、離島や限界集落では市場規模や移動距離が参入障壁となって、配食ビジネスがなかなか成り立ちません。加えて、お弁当は価格を上げると毎日召し上がっていただくのが難しくなるため、コストのバランスを注意深く考える必要があります。都市部から離れた地域にも、安くおいしく栄養バランスの取れたお弁当をお届けする。これは、一定程度以上の人口を有するエリアにしか出店できない配食業界の常識への挑戦です。さまざまな課題をクリアし、過疎地においても事業拡大に取り組みたいと考えています」
全国の店舗網を活用して「地産外商」に貢献する
高橋社長は配食業界の課題を克服するために、複数事業の同時展開に加えて、町おこしのサポートを通じた収益力の強化を進めている。
昨年11月25日には、高知県土佐清水市と地域活性化や健康、環境、安全・安心、市政のPRなどで協働する包括連携協定を締結した。これにより、同社が蓄積してきたノウハウを生かして土佐清水市の地元水産物を使った高齢者向け商品の開発を支援する。完成した商品は「宅配クック123」や高齢者施設向け食材供給サービスの「特助くん」を通じ、全国の高齢者に向けて提供し、「地産外商」を実現する構えだ。
「土佐清水市は宗田ガツオやシイラという魚の産地として有名ですが、主要産業である漁業の担い手が減少するという深刻な悩みを抱えています。お弁当の宅配だけに留まらず、地元の経済や雇用創出に貢献し、地域の一員として取り組むことで、当社の収益強化にもつなげていきます。まずは小豆島や土佐清水市をモデルケースにするべく、成果を出すことに注力します。コロナが終息すればコミュニティサロンをスタートすることができ、地方創生事業にも弾みが付くはずです」
会社概要 設立 1999年12月 売上高 114億256万円 (2020年2月期) 所在地 東京都港区 従業員数 100人 (2020年2月末時点) 事業内容 高齢者専門宅配弁当サービス、高齢者施設向け食材卸、高齢者向けコミュニティサロンの運営 https://slc-123.co.jp/ |
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