コロナ禍によって厳しい状況にある飲料業界だが、北海道コカ・コーラボトリングは「どさんこ企業として、今できることを」を合言葉に地域での存在感を強めている。地域貢献で培ったさまざまなパートナーシップを生かし、SDGsへの取り組みも強化していく。
持てるすべての機能を地域貢献に結びつける
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、観光産業が大きなウエートを占める北海道の経済に大きな影を落とした。飲料産業も例外ではなく「緊急事態宣言で人流が止まることによる売り上げへの影響の大きさとスピードは想像以上だった」と北海道コカ・コーラボトリング社長の佐々木康行氏は話す。
「今後、感染拡大にある程度の区切りが付いてコロナ禍以前とまったく同じ状態に戻るかというと、そうは思いません。ウィズコロナの時代は既に始まったと感じており、それに適合した事業活動を再構築しているところです。ただ『どさんこ企業』として、飲料事業を核にわれわれの企業体が持つ機能を最大限に生かし、地域に貢献していくという柱は変わりません」
同社は北海道との包括連携協定をはじめ、自治体や道内各団体とのパートナーシップによる貢献を目指している。特に、災害時における飲料提供を軸とした防災協定は、道内179市町村すべてと締結した。また、北海道開発局との協定からは、子育て支援の一環として紙おむつや液体ミルクなどを24時間販売する「子育て応援自動販売機」の道の駅への設置が始まり、現在は全道15カ所に設置が完了している。
さらに、北海道警察との協定による電光掲示板付き自動販売機や、売り上げの一部を公共施設や事業、地域団体に寄付する応援自動販売機の設置など、自動販売機を通じてさまざまな地域貢献を実現している。
また、コロナ禍を機に始まった地域貢献活動もある。医療機関への物資寄付、子ども食堂やフードバンクへの寄付といった経済的な支援のほか、自動販売機の感染対策から、公共施設などに抗菌加工を施す活動も開始した。
「北海道の企業として、地域の人々が安心して生活できる地域づくりに貢献したいと思います」と佐々木氏は責任感をにじませる。
サステナビリティ経営を進めSDGsの取り組みも強化
水資源を利用する飲料産業として、もう一つ重要なテーマとなるのがサステナビリティだ。同社ではSDGsを中期経営計画に取り入れ、取り組みを強化している。
現在の代表的な取り組みが、全世界のコカ・コーラで掲げる「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」に則った活動であり、2030年までに世界で販売する商品の販売量に相当する缶・PETボトル容器をすべて回収・リサイクルすることを目標としている。
これを受け、北海道コカ・コーラボトリングを含む日本のコカ・コーラシステムでは「容器の2030年ビジョン」を設定し、リサイクルPETや植物由来PETへの切り替え、容器回収やリサイクルの枠組み構築を順次進めるとともに、地域清掃活動や容器ゴミ・海洋ゴミへの啓発活動を展開している。
こうした活動の一環として、一部の主力商品におけるラベルレス商品の販売も開始した。
「全国販売しているもの以外に、北海道独自に5商品を限定展開しています。時代の要請にフロントランナーとして積極的に取り組んでいきたい」と佐々木氏は力を込める。
同社では水資源を守るための環境活動にも長年取り組んでおり、工場のある札幌市清田区の水質を支える白旗山での植樹や体験型環境教育など、地域の子どもたちに向けた発信を重視してきた。SDGsへの取り組みにも若い世代の力が必須と考え、21年7月には学校法人酪農学園と「SDGs推進に向けた包括連携協定」を締結。学園内のペットボトル空き容器の100%回収とリサイクル処理による資源循環、災害時の家畜用を含む飲用水の提供、さらに食品残渣を使った家畜用飼料開発の研究へのお茶商品の茶粕提供という教育研究支援を行っている。
「若い世代に関心を持ってもらうのはとても大切なことです。今回作った仕組みを回していくだけでなく、学生さんたちと直接対話する機会を設けて、新たな課題などを協働で見つけていきたいと思います」
会社概要 設立 1963年1月 資本金 29億3,515万4,000円 売上高 514億円(2020年12月期) 所在地 北海道札幌市清田区 従業員数 395人(グループ1,295人) 事業内容 北海道を主な販売地域に飲料の製造および販売 https://www.hokkaido.ccbc.co.jp/ |
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