経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「発明」から「発想」へ。顧客ニーズを見極めイノベーションを狙う 木村弘毅 MIXI

mixi 木村弘毅 社長

(雑誌『経済界』2024年2月号「テック企業特集」より)

mixi 木村弘毅 社長

MIXI 社長CEO 木村弘毅 きむら・こうき

2004年に始めたSNS事業のイメージが強いMIXIは、累計売上高が1兆円を超えた「モンスターストライク」や、海外ユーザー比率が30%を超え175カ国に展開する子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」等のライフスタイル事業、そしてスポーツベッティングサービス「TIPSTAR」をはじめとするスポーツ事業など、多角化戦略が奏功している。そして、それぞれの事業の底流には「コミュニケーション」がある。

「当社は、人間関係を用いて、コミュニケーションのベースをつくることを最も得意としています。SNSに留まらず、『遊び』というコミュニケーションに着目したゲームのプラットフォームを提供し、世代を超えた家族間のコミュニケーションを実現するアプリもつくりました。そしてスポーツ事業は、友人同士、言葉を介さずに盛り上がれるノンバーバル・コミュニケーションの極みです」(木村氏)

「テック企業の進化には何が必要か」という問いに、木村氏は顧客ニーズを察知しつつ、既存の技術を応用していくことの重要性を強調する。

「進化にはインベンション『発明』が大切なのは当然です。しかしそれ以上に重きを置かれるべきは過去の技術を組み合わせ、創意工夫からなるイノベーション、つまり新たな『発想』です。ここに主眼を置かなければ、いくら発明や特許取得を重ねても、イノベーションを起こせない限りゼロサムゲームで限られたパイの取り合いに終始することになります。市場そのものを創り上げる観点が必要です」