(雑誌『経済界』2025年9月号より)

「当社に年功序列は必要ありません。例えばマネックス証券に新口座を開設するボリューム層は30代です。このニーズに応えるサービスをつくる上で若手の視点は欠かせません。ゴール達成のために最適化された結果として抜擢人事は必然です」
マネックスグループは「メリトクラシー」を重視する。これは年齢や性別や働く時間を忖度しない純粋な能力主義だ。メリトクラシーを徹底することが、多様な人材の抜擢に直結すると清明祐子社長CEO は確信する。次代のリーダーに求められる能力とは何か。
「リーダーシップとは『決断力』です。マネジメント側は、最大限の権限を部下に委譲したいと願っています。しかし、与えられた権限を使い切れる人は決して多くない。ここを伸ばしていくべきです」
同じ企業グループであっても、暗号資産交換業のコインチェックと、伝統的な金融の雰囲気が色濃いマネックス証券とは、人材のカラーが大きく異なる。これこそが強みであると清明氏はいう。さらに今年は、米資産運用会社ウエストフィールド・キャピタル・マネジメント社の持分を20%取得し、グループ化した。同社は米グロース株の運用に強みを持つが、日本の顧客向けに商品化し新しいアセットクラスを届ける考えだ。
「カルチャーを掛け合わせ、積極的に違いをぶつけ合うことは新しいものを生み出す上で重要です。多様な人材を獲得するためにM&Aを進めているといっても過言ではない。グループとして同じ方向を向きつつ個性を尊重し、サービスを豊かにしていきます」

