経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

100人100通りの働き方を封印 企業に聖域を築かず変化する 青野慶久 サイボウズ

サイボウズ 青野慶久

(雑誌『経済界』2025年9月号より)

サイボウズ 青野慶久
サイボウズ 青野慶久

ほんの少し前まで、サイボウズの代名詞となっていたのが、「100人100通りの働き方」。働く場所や時間を社員が自由に選ぶことができるというものだ。

ところが昨年、サイボウズは「この表現は今後使わない」ことを決めた。青野慶久社長はオウンドメディア「サイボウズ式」の中で「働き方を何でも自由に選べると、極端な解釈をされるようになってきた」とその理由を説明している。

代わって打ち出したのが「100人100通りのマッチング」。

働き方とアウトプットを社員が考え、それがチームから求められる役割と合致した場合に、マッチングが成立するというものだ。

本質が変わったわけではない。しかし会社の成長とともに、「チームワークあふれる社会を創る」というパーパスが生まれた過程を知らない社員も増えた。そこでより本質を理解してもらうために見直した。この柔軟性がサイボウズの「面白さ」だ。

青野社長はパーパスでさえも必要であれば変えても構わないという。企業の中に聖域を築かず変化もいとわない。そのためにも現場に権限を委譲し、社員一人一人が意思決定できる組織が理想だという。

その上で組織におけるリーダーの役割について次のように語っている。

「リーダーがメンバーの野心に興味を持ち、それを引き出したり、共感したりできるようになれば、皆の幸福度が高まっていくはず。そして会社の成長にもつながる」