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商品開発に続き環境対策で競い合うコンビニチェーン

ニュースレポート

24時間365日、いつでも便利さや安心を提供してくれるコンビニエンスストア。しかしその分、環境負荷は大きい。そこでコンビニチェーン各社は環境対策に力を入れる。太陽光パネルを設置するのは当然として、燃料電池トラックの開発にも着手した。文=関 慎夫

規制対象となり環境対策に力を入れ始めたコンビニ

セブンイレブンがトヨタと共同で燃料電池トラックを開発。(写真中央が古屋一樹・セブン-イレブン・ジャパン社長、右隣が友山茂樹・トヨタ自動車副社長)

 日々進化を遂げるコンビニエンスストア。業態としては米国発祥の小売業だが、日本では独自の進化を遂げ、今では世界でも類を見ない商品開発能力やサプライチェーンを築き上げ、コンビニなくして人々の生活が成り立たないほどの社会インフラとなっている。

 これもコンビニの3大チェーン、セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートを中心に各社がし烈な生存競争を繰り広げてきた結果といえる。

 これまでコンビニ間の競争は、商品開発がメインだった。コンビニの差別化の源泉はオリジナル商品であり、各チェーンはその開発にしのぎを削ってきた。

 セブン-イレブンが「セブンプレミアム」を開発すれば、ローソンは「ブランパン」で健康訴求し、ファミリーマートはレジ横の「ファミチキ」「ファミから」で強みを発揮するといった具合だ。

 今後も開発競争はし烈さを増していく。それと同時に最近各チェーンが力を入れているのが環境対策だ。

 平均的なコンビニの店舗面積は約100平方メートルと小さい。しかしそのほとんどが24時間営業で、夜も煌々と照明がついていることもあり、コンビニ1軒で一般住宅50軒分のエネルギーを消費しているといわれる。

 これが全国に5万5千店もある。さらにはきめ細やかな商品供給が必要なため配送トラックもひっきりなしに訪れる。当然環境負荷は大きい。

 2010年に改正省エネ法が施行され、それまでは規制対象外だったコンビニも規制対象となったこともあり、各チェーンは本腰を入れて環境対策に取り組み始めた。

 セブン-イレブンは、店舗にスマートセンサーを設置、店舗の電気使用量をリアルタイムで確認できるだけでなく、その情報を本部も共有する。また太陽光発電パネルの設置を進めており、全2万店強のうち、7809店(2月末現在)で設置を終えた。また消費電力の少ないLED照明は1万9千店で利用中だ。

 5月22日、神奈川県相模原市に「橋本台1丁目店」がオープンした。これは環境配慮型店舗と呼ばれるもので、環境負荷を極力小さくなるように設計している。

 太陽光パネルは店舗の屋上だけでなく、カーポートの屋根にも取り付けられ、クルマの駐車スペースにも、透過性・耐久性に優れたコーティングの太陽光パネルが設置された。

 さらには昼間の余剰電力を夜間に利用するために、蓄電池も備えている。この蓄電池は、トヨタのハイブリット車(HV)「プリウス」で使用されたバッテリーのリユースだ。こうした工夫によって、この店では再生可能エネルギー比率46.0%を達成した。

太陽光パネル、LED照明―コンビニチェーンの環境対策

 ローソンは20年の1店舗当たりの電気使用料の10年比2割減を目標として掲げている。

 店舗内では省エネタイプの要冷機器や空調機器、LED照明などを積極的に導入するほか、冷凍・冷蔵設備の冷却装置に地球温暖化に高い効果のあるCO2触媒を使ったシステムを採用することで、環境負荷低減を目指す。また2千店の店舗で太陽光パネルを設置した。

 昨年2月にオープンした「小平天神町2丁目店」(東京都小平市)にはローソンの環境対策が凝縮されている。屋上には太陽光パネルがあるのは当然として、店に入ると天井に勾配があることが分かる。

 これは店内の暖気を勾配の高い方へと対流させることで、空調・喚起の効率を向上させるためだ。床下空間の地熱も活用している。外気を取り入れる際、床下を経由して地熱を取り込み、室内温度に近づけてから給気する。これにより空調効率は向上する。

 店舗に設置されたタブレットには、省エネの実施方法が常時通知されており、それを選択するとIoTにより自動で節電できるシステムとなっている。

 ファミリーマートでも、太陽光パネルの設置を進めるほか、店舗、本部それぞれで使用電力量の削減目標を掲げ取り組み中だ。またCO2を排出しない電気自動車(EV)用の急速充電器の設置を進めることでCO2削減環境を整えている。

コンビニの環境対策は物流面で改善の余地あり

 このほか各コンビニチェーンとも包装用のプラスチック使用料の削減や廃棄ロスを最小化するなどの努力を日々進めているが、改善の余地があるのが物流面での環境対策だ。

 コンビニの大手チェーンの場合、弁当やサンドイッチなどの日配品は1日に3回配送している。これにより、いつでも調理したてのものを安全に供給することができるのだから、いわばコンビニにとっての生命線だ。

 かつてam/pm(のちにファミリーマートが吸収)が冷凍弁当を店舗で解凍するシステムを導入し配送回数の削減を目指したが、結局消費者の支持は得られなかっただけに、配送回数を減らすことはできない。さらには日配品の配送以外にも飲料や雑誌などの配送が加わるため、1店舗1日当たりの配送車両台数は7~9台となる。

 もちろん削減の努力はしている。1974年にセブン-イレブンが誕生した当時は、1店舗1日70台のトラックが店に商品を運んでいた。その後配送センターをつくり共同配送を進めることでここまで下げてきた。それでも、店舗数が大きく増えたことで、配送車両の数は大きく増え、各チェーンごとに5千~6千台の配送車両が走っている。

 1台1日当たり約200キロ走るといわれており、3大チェーンだけで毎日の走行距離は、延べ300万キロに達する。これは地球75周分に匹敵する。それだけCO2をまき散らしていることになる。

 ファミリーマートの例を取れば、商品の製造メーカーから始まり店舗の販売までに至る一連の過程で生産されるCO2と、、本社などから出るCO2の合計は約100万トン(15年度実績、以下同)。このうち店舗での排出量が全体の9割以上を占めるが、次いで多いのが、物流センターから店舗までの配送部分で、7.44%に達するだけに、ここを改善すれば、CO2削減効果は大きい。

コンビニ各社の協力で環境対策が進む

 セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は「国内で使うトラックのうちHVやEVなど環境配慮トラックは現在924台で、全体の15.5%。20年にはこの比率を20%に高めたい」と語る。

 ただしコンビニの商品の多くは温度管理が必要で、冷凍・冷蔵設備を持つ配送車が多い。EVの場合、冷凍・冷蔵のために電力を使用すれば、その分走行距離が短くなってしまう。

 また配送車はドライバーを替えて1日中走行しているため、充電時間を確保するのも難しい。そのためEVの採用はまだわずか、少しずつHVが増えてきたというのが現状だ。

 そうした状況下、6月6日にセブン-イレブンがトヨタ自動車と共同で発表した燃料電池(FC)トラックは、ひとつの可能性を提示したと言えるだろう。

 FC車は、水素と酸素を反応させて発電するEVで、副生物は水だけという究極の環境対応車。航続距離も長く、水素の充填はEVの充電ほどは時間がかからない。そこでセブン-イレブンではFCトラック2台を実験導入、検証を進める。

 ベースとなったのはトヨタのFC車「MIRAI」で、この動力部分をそのまま活用した。

 トヨタにとってもこの提携の意味は大きい。トヨタは水素社会の到来を目指し、14年にMIRAIを発売した。しかし水素ステーションの設置があまり進んでいないこともあり、思惑どおりには進んでいない。そのためにも「安定的な需要をつくる必要がある」(友山茂樹・トヨタ自動車副社長)。

 古屋氏は、「環境問題は競争ではなく協調するもの」と語り、FCトラックはセブン-イレブンが独占するのではなく、他チェーンに提供してもかまわないというスタンスだ。

 前述のように、日本国内には3大コンビニチェーンだけで1万5千台の配送車がある。一部でもFCトラックになれば、その分、CO2を削減できる。車両価格など解決する問題は多いが、コンビニ各社の環境対策はまた一歩前進する。

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