文化・ライフ

稼げる人が最大活用する返報性のルール

 

 一般に「稼ぐ」という意味を勘違いしているのではないか、と考えることがある。稼ぐ前に「稼がせろ」が正解なのだが、現実は逆だ。

 以前、触れたように、お金持ちにも「かっこいい」と「かっこ悪い」がある。どうせなるなら「かっこいいお金持ち」になりたいと考えるのは自然な思いである。貧乏人も、幸せな貧乏人と不幸せな貧乏人があるなら(貧乏はイヤだが)不幸せより幸せなほうがいい。

 かっこいいお金持ちとは基本的に決して奪う人ではなく「人に与える人」である。自分の持つ資源を人に与えて、その人の価値や社会の価値を上げてくれる人、分かち合う人であり、あるいは人を勝たせてくれる人と言ってもいい。

 決して自分中心ではなく、視線は常に他人に向けられていて人に好かれるから、こうした人の周りには、自然とファンの輪ができる。好かれるだけではなく、その人の恩恵にあずかった人から、返報がなされる「返報エネルギー」の塊がその人を取り囲む。

 返報性のルールとは、「私たちの身の回りにあるさまざまな影響力の武器の中でも最も強力な武器」(『影響力の武器』誠信書房)である。これは「他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならない」というルールであるという。

4つも重要な資源を持っている

 これで大成功しなければウソだろう。私が講座で育成しようとしているのは、まさにそういう人なのである。

 こういうと、必ず次のような質問が向けられる。

 「私には与えるようなスキルを持っていません」

 「そもそもお金を持っていないので相手に対し、何か先に与えることができません」

 この質問は的外れと言わざるを得ない。あなたは4つも、重要な資源を持っているのである。

 「お金」

 「スキル」

 「人脈」

 「時間」

 確かに、お金やスキルは、今、持っていないということもあるだろう。だが自分なりの人脈を使って、解決できないことがあれば、得意な人やプロの知り合いにつないであげるということも、大きな価値を相手に与えることになる。

 さらに、「時間」はどうだろう。時間だけはすべての人に平等にある。そうしたら、それを活用するのだ。例えば、時間のかかっている作業を上司がやっている場合、それを自分が代わりにやって上司の時間を作ってあげる。

 

稼げる人は他人のために自分の時間を使う

 

 あるいは、メンターの話を聞くために、率先してセミナー等の準備を買って出る。こうしたことなら、自分の時間を使うだけで人の役に立つ。そんな、お金もスキルも要らない、あなたの資源を与える方法もあるのだ。

 私の講座生の一人に、今の仕事をすべて見直し、一から保険業界に挑戦したいと門を叩いた青年がいた。彼は、講座の準備や雑用を自ら買って出て、他の講座生が勉強しやすい環境を、一所懸命につくる努力を続けてきた。

 そうしたら、どうだ。保険会社の研修で課題にぶち当たった時、講師の私も、一緒に学んだ講座生も、彼を懸命に応援し、その課題をクリアすることができたのである。

 私は彼に、先に価値を与えてあげることが、成功への近道であることを証明してもらった気がした。きっと彼は、業界でもダントツの成果を上げる営業マンに、近い将来大きく成長を遂げるはずである。

 「稼ぐ」という言葉を勘違いしてはいけない。「稼ぎ力」とは、相手から奪って得るものではなく、先に価値を与えていくことからでしか得られないものなのである。

今号の流儀

「稼ぎ力」とは奪うことではなく、先に価値を与えることだ。

稼ぐ人の才能は特別なものか

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次なるステージを駆け上がる日本電子「70年目の転進」–日本電子

 最先端の分析機器・理科学機器の製造・販売・開発研究等を手掛ける日本電子(JEOL)は、ノーベル賞受賞者を含むトップサイエンティストや研究機関を顧客に、世界の科学技術振興を支えてきた。足元の業績は2019年3月期で連結営業利益、同経常利益、同最終利益がいずれも過去最高を更新。かつては技術偏重による「儲からない…

独自開発のホテル基幹システムで業務効率化と顧客満足度を向上–ネットシスジャパン

逆転の発想で歴史に残る食パンを 生活に新しい食文化をもたらす–乃が美ホールディングス

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

非大卒就職マーケットの変革に挑む元教師の挑戦―永田謙介(スパーク社長)

日本企業の年功序列と終身雇用が崩壊に向かう中、制度を支えてきた大学生の新卒一括採用の是非もようやく議論されるようになってきた。一方、高校卒業後に就職する学生のための制度は旧態依然とし、変化の兆しがほとんど見えない。こうした現状を打ち破るべく、非大卒就職マーケットの改革に挑戦しているのがSpark(スパーク)社…

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年5月号
[特集] 巻き込む力
  • ・高岡浩三(ネスレ日本社長兼CEO)
  • ・唐池恒二(九州旅客鉄道会長)
  • ・河野 仁(防衛大学校教授)
  • ・入山章栄(早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)
  • ・出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)
  • ・中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会理事)
  • ・時代も国境も超えた普遍のリーダーシップを学べるベストブックス
[Special Interview]

 小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長)

 イノベーションを起こすために「人間とは何か」を問う

[NEWS REPORT]

◆零細企業でも活用できるインターネットM&A最前線

◆業界再編はあるのか 日本製鉄、巻き返しへの一手

◆技術研究所を解体してホンダは何を目指すのか

◆新型コロナウイルス治療薬 なぜ日本企業は創れないのか

[特集2]

 経営者に贈る「イロとカネの危機管理」

ページ上部へ戻る