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東京都議選は“小池時代”到来の分岐点か

小池東京都知事の人気に陰りか?

東京都知事選

イラスト=のり

東京都議選は告示(6月23日)まで1カ月とを切った(投開票は7月2日)。小池百合子東京都知事が特別顧問に就任した「都民ファーストの会」(代表・野田数氏)がどのくらい議席を増やせるのか、注目される選挙だ。

都議選は、23区と多摩地区および島部を含めた市町村を42選挙区に分け、1人区の小選挙区と2~8人の中選挙区で計127人の都議を選出するもの。しかし、単なる地方選挙ではない。

1993年の都議選では日本新党が2議席から20議席を獲得し、直後の衆院選で細川護煕首相の非自民政権が誕生する飛躍台となった。さらに、2009年の都議選では民主党が第1党に躍進し、衆院選で政権交代を果たした。まさにニッポンの未来を占う前哨戦といえるのだ。

5月4日の東京・JR赤羽駅東口。ゴールデンウィークの中日の午後、暖かい日差しに包まれた駅前のロータリーは、駅構内まであふれ返るほどの人出となった。目算で軽く1千人を超えている。公明党の立候補予定者、大松成(あきら)都議の応援演説に駆け付ける小池百合子都知事を一目見るために集まった人たちだ。

都民ファーストの会は、都議会公明党と候補者を相互に推薦する選挙協力を結んだ。このことから、ゴールデンウィーク期間中に小池都知事は7カ所で公明党候補予定者の応援を組んだのだ。

2時半ごろ現場に現れ、マイクを持ち小池都知事が語り始めると、観衆の熱気は一気にピークに達した。

「東京大改革の中軸を担う公明党の活躍を心から期待する」と公明党を持ち上げ、「東京大改革をスピードアップするか、ブレーキをかけるのか。この選択になる」と訴えると、拍手が鳴り止まない。通りがかった若い女性たちは「百合子さ~ん」と声援を送り、小池都知事は余裕の笑みで手を振る。

依然として高い小池人気が窺える光景だ。しかし、各世論調査などでは、小池都知事の人気に翳りが見えてきたとの分析もある。

「3月に大阪・豊中問題で、籠池泰典理事長(当時)が連日、テレビのワイドショーなどに映し出されたことで、小池都知事や都政への関心が薄れてしまった。加えて、豊洲市場移転をめぐる百条委員会で、石原慎太郎元都知事などを証人喚問したものの真相究明には至らず、築地か豊洲かの選択もままならない。どうしてしまったんだろうという雰囲気が都民から伝わっています」(永田町関係者)

自民党への不満の受け皿が都民ファーストに

そうしたことから、当初は単独過半数の64議席を都民ファーストが獲得すると見られていたが、現在では40台後半となっており、公明党と合わせて過半数になるとの見方が大勢を占めている。そんななかで連休中の演説を見た感想を言えば、「やはり、小池旋風はまだ止まず」。創価学会の動員だけでは説明がつかない観客数と熱は想像を超えていたからだ。

一時的に小池人気は小休止したのかもしれない。しかし、いざ選挙となれば小池都知事応援へと、都民の意識は一気に向かっていくのではないか。

「いくら自民党が地元で訴えてもダメ。国会議員があまりにもコケすぎで、自民党支持者も今回はお灸を据えようと思っている。その受け皿が、小池都知事の都民ファーストになるのは当然の流れだよ」

こう語るのは、自民党元幹部だ。

今村雅弘前復興相は、記者会見でキレたかと思えば、その後、所属する自民党二階派のパーティーで「東日本大震災の被害は、まだ東北で、あっちの方だから良かった。首都圏に近かったりすると、莫大な甚大な額になった」と失言し、辞任を余儀なくされた。

また、週刊誌に不倫スキャンダルをスクープされた中川俊直前経産政務官は、役職辞任ばかりか、離党届を提出せざるを得ないハメに追い込まれた。

立て続けに緩みが出てきた自民党。それでも高い支持率を維持している理由は、他に受け皿がないことだけだという。

「崩れ出したら止まらない。それが選挙の恐ろしさ。“小池時代”の到来は予想以上に早いのかもしれない」

都議選の結果が、日本を変えるか。

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