文化・ライフ

「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。本シリーズでは、20年間で2万人以上のファッションをコーディネートしてきた、ファッションスタイリストジャパン(FSJ)の西岡慎也氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。

ダニエル・クレイグのデニムの着回し

 プライベートの服を充実させることで行動範囲が広がるというお話を以前しましたが、今回は、ジェームズ・ボンド役で有名な俳優のダニエル・クレイグのファッションに注目してみましょう。

 読者の皆さんに感じてほしいのは、ファッションを通して分かる彼のライフスタイルです。と言っても、ボンド役の時によく見られるかっちりとしたスーツ姿ではありません。スーツ姿ももちろん素敵なのですが、注目したいのはむしろプライベートのファッションです。

 ダニエル・クレイグはプライベートでも、公衆の面前に出るときでも、デニムを履くことが非常に多い人です。デニムのジャケパンスタイルをはじめ、Tシャツ、ポロシャツ、ニットシャツなど、さまざまな着回しを楽しんでいます。彼の着こなしを見ると、デニムがいかにプライベートで活用できるアイテムであるかが理解できます。

 こうした着こなしは、仕事が忙しい人ほど真似したほうがいいと思います。仕事に燃えている人はスーツに目が行きがちなのですが、そうなると仕事モードばかりになってしまって、行動範囲が狭められてしまいます。たとえば、奥さんや娘さんなどと外出するとき、しっかりしたデニムを1本持っていれば、たくさんの服を持って迷う必要がなくなります。

 デニムは上手く履き続ければ、20~30年持たせることができるアイテムです。2~3万円かけて良い物を買っても、費用対効果が非常に高いと言えるでしょう。

 着回しに対応できるお勧めデニムは

 デニムを選ぶ際のポイントとしては、サイズ感が重要です。太めのものは基本的にカジュアルすぎてジャケットには合いませんし、全体的なバランスがとり難くなってしまいます。

 よく、アパレルの店員さんが太めのデニムにジャケットを合わせているのを見かけますが、それは店員さんだからできることであって、ファッションを良く知らない方は真似をしないほうが良いでしょう。

 以前、本連載で店員さんの話をよく聞くようにアドバイスしたことと矛盾するようですが、彼らの多くは1950年代から60年代にかけてのヴィンテージファッションを知ったうえでそうした着こなしをしています。知らずに真似をすると、顔や考え方や雰囲気とマッチしない服装になってしまうのです。

 逆に細すぎるデニムも、カジュアルでは使いにくくなります。特に女性が好んで履くスキニーと呼ばれるデニムは、脚にピッタリとくっつくシルエットになるので、脚が太い人にはお勧めできません。

 男性読者のみなさまにお勧めしたいのは、緩すぎず、ピッタリもしすぎないテーパードと呼ばれるシルエットのデニムです。裾に向かって綺麗にシェイプされたシルエットですが、太もも部分には少しだけゆとりがあって、大人でも履きやすいものです。あらゆる着回しに対応できるので、ぜひ1本持っておくことをお勧めします。

西岡慎也のワンポイントアドバイス

西岡慎也 デニムのジャケパンスタイルで、スーツの上着を合わせる方をよく見かけますが、これは避けるべきでしょう。あくまでカジュアルですから、ジャケットは肩パッドが入っておらず、2つボタンのものが基本です。間違えている人も結構多いので、ぜひ気を付けてみてください。

 (にしおか・しんや)1979年生まれ。茨城県土浦市出身。21歳で米輸入会社ワイルドウエストジャパンに就職し、約4千人のファンを獲得。2001年、セレクトショップ「WITH PREASURE」を独立開業。従来のアパレルの販売方法ではなく、コンサルティングを中心としたコーディネートの手法を確立する。10年にファッションスタイリストジャパンを設立し、多くの著名人、エグゼクティブの顧客を獲得し、現在に至る。

 

 
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