政治・経済

世論調査では自民党がリード

201708NAGATACHO_P01

 7月2日投開票の東京都議選が始まった。他道府県の読者の中には、関心が薄い方もおられるだろうが、来年末までには必ず実施される衆院選の前哨戦と見られる戦いだけに、ご容赦願いたい。

 「もう風はやんだ」「いや、もはや逆風だ」と、小池百合子東京都知事が率いる都民ファーストの会(以下、都民フ)に対する冷ややかな声が、永田町を駆け巡っている。

 というのも、各社の世論調査ではどこも自民党にリードを許しているからだ。例えば、毎日新聞5月29日付(27、28日実施)では、政党別投票予定先は自民党が17%に対し、都民フは11%。日経新聞同日付でも自民党は31%、都民フは21%だった。

 しかし、各世論調査で最も多いのは、「まだ投票先を決めていない」だ。日経新聞では3割弱、毎日新聞、産経新聞では共に49%に達している。

 だからだろうか、自民党はネガティブキャンペーンに躍起となっている。「小池さんは決められない政治家」(下村博文都連会長、5月30日)、「決められない知事だ」(菅義偉官房長官、4日)と、10カ月間自民党籍のままでいた小池都知事を批判した。築地市場移転問題に対しても、6月5日現在、明確な方針を示していない小池都知事に猛口撃を仕掛けている。

 一方、都民フ側も黙っていない。戦闘モード全開となった小池都知事は6月1日、離党届を自民党に提出。その後、目黒雅叙園で開かれた都民フの総決起集会に出席し、代表就任を発表した。

 会場には約1千人の支援者が駆け付け、テレビカメラは30台以上集まり、熱気を帯びていた。前日の31日に自民党を離党した若狭勝衆院議員も出席し、「利権構造のしがらみ政治に、自民党東京都連をそのまま勢いづかせるわけにはいかない。都民ファーストが勝たなければいけないんです」と、来賓あいさつで気炎を上げた。

 どちらも譲れない127の議席を巡る戦い。果たして、事前の世論調査通りの結果となるのか、それとも昨年の都知事選の再現となるのか。

投票率50%以上なら都民フが有利に

 自民党にとっての不安材料は、国政における加計学園問題だ。

 「加計学園問題で、前川喜平前事務次官が『週刊文春』の取材に応じ、さらに記者会見をしたことがきっかけで、連日メディアを賑わすことになりました。しかし、菅官房長官は、前川氏の人格を疑うような発言に終始するなど、正面から疑惑解明をしていません。つまり、国民の側からすると『何となくヘンな感じ』がつきまとっている。自民党側は、国政と都政は別と言いますが、都民の投票行動に大きな影響があると思います」(政治ジャーナリスト)

 一方、都民フ側にも不安材料は多い。

 「築地市場移転問題をはじめ、東京五輪問題でも他自治体の費用負担を先送りした。加えて、都民フの各候補者は基礎票があるわけではない。スキャンダルなどが出れば、有権者は瞬く間に離反していくでしょう」(前出・政治ジャーナリスト)

 自民、都民フ、どちらも失点含みの要素が横たわっているのだ。在阪ジャーナリストはこう読み解く。

 「橋下徹氏が大阪維新の会を設立し、自身の市長選や府議選、市議選を戦ってきました。その際何度も『風はやんだ』『逆風だ』と、在阪メディアは世論調査を盾に報じてきましたが、結果は皆、維新の勝利でした。都構想の住民投票だけが、敗北と言っていいでしょう。今回の世論調査でも『決めていない』が3~5割。つまり、無党派層がそれだけ多いということです。都市部の無党派層は基本的に“反自民層”。投票率が上がれば、圧倒的に都民フが優位だと見ています」

 前回2013年の都議選の投票率は43.50%。民主党(当時)政権誕生のきっかけとなった09年の都議選は54.49%だった。この時は民主党都議が圧勝した。そうなると、気になるのが投票率だ。前出の在阪ジャーナリストは「50%を上回れば都民フが第1党になり、下回るようだと自民党が第1党死守となるでしょう」と予測する。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

「損して得を取る」事業モデル  不動産登記情報を扱う「登記簿図書館」をご存じだろうか。 かつては法務局でしか取得できなかった登記簿情報がオンラインで簡単に取得でき、かつ、法務局では対応できないさまざまなサービスを提供するというものだ。保有登記情報は全国2450万件、会員数9500社を誇る。 この登記簿図書館を…

支持政党なし

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

独自のプラットフォーム戦略で、外食産業の新たなスタンダードを創造する――きちり社長 平川昌紀

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界8月号
[特集]
会社が変わる時

  • ・伊藤秀二(カルビー社長兼COO)
  • ・星野佳路(星野リゾート代表)
  • ・森山 透(三菱食品社長)
  • ・笠原健生(クアーズテック社長)
  • ・駒村純一(森下仁丹社長)
  • ・小渕宏二(クルーズ社長)
  • ・大山健太郎(アイリスオーヤマ社長)
  • ・秋本英樹(リンガーハット社長)

[Interview]

 糸井重里(ほぼ日社長)

 クリエーターの僕が経営者になった日

[NEWS REPORT]

◆誕生10年! iPhoneは世界をこう変えた

◆インディ500とル・マンにF1 モータースポーツの経済効果

◆Jリーグ放送権喪失後の展開 スカパー! はどうなるか

◆売り手市場の就職戦線に笑うものなし

[政知巡礼]

 下村博文(衆議院議員)

 「教育立国こそが、国家として目指す道」

ページ上部へ戻る