政治・経済

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(とやま・かずひこ)1960年生まれ。85年東京大学法学部卒。在学中に司法試験合格。92年スタンフォード大学経営学修士(MBA)取得。ボストンコンサルティンググループを経て、2003年産業再生機構に参画、COO就任。解散後、経営共創基盤(IGPI)を設立、現在に至る。

インターンシップ有識者会議の結論の問題点

 先日、文科省の「インターンシップに関する調査研究協力会議」が、採用に直結するインターンシップを学業の妨げとして認めない方向で結論をまとめると報じられた。

 私は経済人として4千人の従業員を抱える企業グループのトップであり、またいくつかの大学で講義を持ち大学経営の顧問を務め、何より大学生の親でもある。その立場からは、笑止、下劣、「恥を知れ」としか言いようがない結論だ。

 報道によると、経済団体やら大学やらの「有識者」の先生方の結論らしいが、いったいこの人たちはどんな「見識」をお持ちなのか。

 多くの大学生と接している実感として、今どきの大学生の多くは、インターンシップなど存在しなかった私たちの時代よりはよく勉強している。私は経済同友会の副代表幹事を務めているが、経済界のおエライさんたちの学生時代の思い出話の多くは「いかに勉強しなかったか」武勇伝だ。加えて、インターンシップが明確に採用と直結している米国の大学生がよく勉強することも周知の事実。

 昔も今も、日本の大学生の勉強量が欧米より少ないのは、大半の大学および教員の無為無策、無能怠慢が主因である。

 もし、大学での学業が、学生自身の将来にとって真に価値あるものと実感させられれば、インターンシップに関係なく、日本の学生も欧米のように必死に勉強するし、わが国でも既に実現している大学がある。今回の結論は問題のすり替えである。

冨山和彦の考えるインターンシップの必要性

 終身雇用や年功制が崩壊していく厳しい時代に、少しでも自分に合った会社や職種に就職したい学生の切実な願い。そして採用力に乏しく深刻な人手不足に悩む中小企業やベンチャー企業における採用直結型インターンシップへの強いニーズ。大企業で正社員として働く勤労者の割合は長年にわたり減少傾向で、今や全体の2割くらいにすぎない。

 単なる「お勉強」目的の学生を受け入れる余裕がない中小・ベンチャー企業に採用直結型インターンシップを認め、学生とのマッチングの機会を増やすことは、日本の経済社会全体にとって大きな意味を持つ。中小企業の多い地方経済の活性化、地方創生にもプラスに働くだろう。学生の側から見れば、採用に直結しているからこそ、真剣勝負で仕事に向かい合うし、本当の勉強にもなる。

 リアルな仕事現場から学べる社会の現実、人間性の現実のほうが圧倒的に真の「リベラルアーツ」に近い。

 実際、インターンシップに参加する学生の本音は「就職活動」そのものであり、企業の本音も「採用活動」なことは誰だって分かっている。報道されている有識者会議の結論の破廉恥性は、こんなあからさまな「大人の嘘」を、これから就職活動を行う未来ある若者たちに公然とついていることにある。

 明確に宣言しよう。私どもの会社、経営共創基盤は今年も採用活動の一環としてインターンシップを行います。結果的に採用に至らなかった学生さんたちにとっても、どの大学のどんな経営学の講義にも負けない価値ある学びを保証します。来たれ前途有望なる若者よ!

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