マネジメント

午後からの1日5時間勤務が会社経営を変える

富裕層専門のカリスマFP 江上治 新倉健太郎さんにお会いした。

 不動産売買、個人向け不動産投資コンサルティングを中心に、物件取得アドバイス、プロパティマネジメント、ビルメンテナンスなど不動産に関するサポートサービス全般を取り扱う株式会社フューチャーイノベーション(東京港区)を、昨年8月に創業した、バリバリの若手実業家だ。

 社員は20人ほどで、平均年齢30歳。年商は80億円だから、社員1人当たり4億円平均を稼ぎ出していることになる。

 さぞかしモーレツ勤務だろうと考えるが、実際は逆。全スタッフが13~18時の5時間勤務だと聞いて驚いた。朝の通勤ラッシュで疲れてしまっては、仕事をしても成果が上がりにくいと考え、導入したとのこと。通常8時間の勤務時間を5時間で終わらせるわけだが、それだけ仕事を効率的に、効果的に進めるスタイルをつくり上げている。

 午前中がフリー時間となるため、自己啓発や人脈づくり、部活や趣味の時間に使えるメリットは大きい。

 また、生き生きした職場は社員の徹底した健康管理から、ということで、社員全員が年2回、病院を替えて人間ドックを受診することになっている。自分が健康であることに確認と、もし病気が発見されても早期なので治りが速い。

 こんな会社に入りたかった、という読者諸氏のため息が聞こえてきそうな会社である。

経営者の心得をバイトで学んだ新倉健太郎氏

 働くスタッフの気持ちを忖度するのは、高校時代のアルバイトから始まっている。ピザチェーン店でのアルバイトだ。月250時間働き、やがて評価されて店長に抜擢。高校生だし、店内で一番の年下だったが、「自分の方が、役職が上なのだから、下の人が従うのは当たり前」という感覚で接した。すると、バイトの半分ほどが辞めてしまった。

 これが新倉さんの衝撃経験となる。つまりは、人をうまく使う心得を身につける契機となったわけだ。

 人をうまく使うとはどういうことか。新倉さんは、自分がサラリーマンとして、営業成績で先輩をもう少しで抜くという状況があったとき、どういう気持ちで臨むべきかという例を出して説明する。

 最もダメなのは、「何が何でも一番を取る」に目的を置くことだと言う。この気持ちからは、相手を抜くことしか考えなくなる。これだと抜いた後に足元をすくわれてしまう。

 たとえ成績優秀で役職が上ったにしても、

「自分が一番」という意識で接していると、部下たちの反感を買ってしまう。結果として、部下たちから足を引っ張られ、パフォーマンスが落ちてしまい、自分の評価も低下してしまう、ということになりかねない。

 新倉さんは高校生のころと同じ轍を踏まないように、常に相手の気持ちを推し量り、プライドを傷つけないように心がけた。それが人をうまく使う際の大前提だということを、アルバイト時代の経験で学んだからだ。当然、その意識は現在の経営者(リーダー)としての振る舞い方にも生きているのだろう。

 中央大学法学部に入学後も、新倉さんは同じピザチェーンで働き、大学生でありながら年収は800万円から1千万円は得ていた。

新倉健太郎式経営で年収1億円超を実現

 大学卒業後は財閥系の大手デベロッパーに就職した。もともと建築は好きだったが、建築士では自分の作りたいものが作れない。発注者側の企画マンなら、可能だと考えた。

 この会社では、日本を代表する大型商業地の開発にも携わった。そして36歳で転職。デベロッパーから不動産投資のベンチャーに移籍した。デベロッパーと投資用不動産の世界にはさまざまな違いがあるが、最も大きいのは社員の能力・意識のレベルだと新倉さんは言う。新倉さんはサラリーマン時代に、投資物件を個人として購入したことがあった。その際に、不動産販売会社と客として接したが、社員たちのあまりのレベルの低さに驚いた、という。何しろ自分の質問にまともに答えられる営業マンはいなかったからだ。

 ベンチャー時代は歩合給で、初年度の年収が5千万円。入社3カ月で役員になり、次年度からは1億円を超えた。やがてベンチャー企業で不動産投資の業務経験を積んだ新倉さんは、「自分が起業しても、この分野なら負けるはずがない」と確信するに至り、独立を志すようになる。そして、独立を前に新倉さんのしたことは、長年の懸案の、両親との離縁だった。(つづく)

[今号の流儀]

「自分が一番」と考えてしまうと、反感を買い、しっぺ返しを受ける。

筆者の記事一覧はこちら

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次なるステージを駆け上がる日本電子「70年目の転進」–日本電子

 最先端の分析機器・理科学機器の製造・販売・開発研究等を手掛ける日本電子(JEOL)は、ノーベル賞受賞者を含むトップサイエンティストや研究機関を顧客に、世界の科学技術振興を支えてきた。足元の業績は2019年3月期で連結営業利益、同経常利益、同最終利益がいずれも過去最高を更新。かつては技術偏重による「儲からない…

独自開発のホテル基幹システムで業務効率化と顧客満足度を向上–ネットシスジャパン

逆転の発想で歴史に残る食パンを 生活に新しい食文化をもたらす–乃が美ホールディングス

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

非大卒就職マーケットの変革に挑む元教師の挑戦―永田謙介(スパーク社長)

日本企業の年功序列と終身雇用が崩壊に向かう中、制度を支えてきた大学生の新卒一括採用の是非もようやく議論されるようになってきた。一方、高校卒業後に就職する学生のための制度は旧態依然とし、変化の兆しがほとんど見えない。こうした現状を打ち破るべく、非大卒就職マーケットの改革に挑戦しているのがSpark(スパーク)社…

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年5月号
[特集] 巻き込む力
  • ・高岡浩三(ネスレ日本社長兼CEO)
  • ・唐池恒二(九州旅客鉄道会長)
  • ・河野 仁(防衛大学校教授)
  • ・入山章栄(早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)
  • ・出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)
  • ・中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会理事)
  • ・時代も国境も超えた普遍のリーダーシップを学べるベストブックス
[Special Interview]

 小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長)

 イノベーションを起こすために「人間とは何か」を問う

[NEWS REPORT]

◆零細企業でも活用できるインターネットM&A最前線

◆業界再編はあるのか 日本製鉄、巻き返しへの一手

◆技術研究所を解体してホンダは何を目指すのか

◆新型コロナウイルス治療薬 なぜ日本企業は創れないのか

[特集2]

 経営者に贈る「イロとカネの危機管理」

ページ上部へ戻る