マネジメント

201801VICTOR_P01

蓄音機から主人の声を聴く犬のニッパーをロゴにした「Victor(以下、ビクター)」ブランドが復活しているのをご存じだろうか。旧日本ビクターは、2008年、ケンウッドと経営統合し、JVC・ケンウッド・ホールディングス(現・JVCケンウッド)として新たな道を歩み始めた。

 時を同じくしてブランド戦略についても「ケンウッド」と旧日本ビクターが海外で使っていた「JVC」の2ブランドに統一していたことで、ビクターブランドは表舞台から姿を消していた。ところが16年、ケンウッドの前身である春日無線電機商会設立から70年、その翌年の17年には旧日本ビクター設立から90年という節目の年を迎えたことに加え、これまでの構造改革が実を結び、会社も成長への戦略に大きく舵を切ったことで、従来のDNAである「誇り」と「探究心」を体現する「ビクター」ブランドが復活した。

 新生ビクターとして発売される第1弾商品というのが、音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC(ウィズミュージック)」という商品で、これはJVCケンウッドが誇る頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」をもとにしている。

 一体何の技術かさっぱり分からない名前だが、簡単に言うと、スタジオでしか表現できないようなクオリティーの音を専用のヘッドフォンで再現するもの。そのためには、ユーザーの耳や顔の形や聞こえ方など個人の特性までオーダーメイドで反映させる。もちろん価格も300台限定のプレミアムパッケージ「WiZMUSIC90」が90万円、「WiZMUSIC30」でも30万円する。しかし、プレミアムパッケージのほうであれば測定は東京・青山にある「ビクタースタジオ」で行われるというから、音へのこだわりは半端ない。

 「誇りと探究心の詰まったブランドですから、次から次へと新商品は出せないですね」(広報)と、第2弾の予定はまだないそうだ。

 ビクターの発表よりひと月前の17年2月、ソニーから通信機器などのメーカーである十和田オーディオにあるブランドが譲渡された。それが、日本初のラジカセを発売するなど、かつて人気を博したブランドの「AIWA(アイワ)」。アイワは02年にソニーと合併し、08年にブランドは終息されていたため、実に9年ぶりの復活となる。

 十和田オーディオが独自ブランドでビジネスを展開することになり、使われていなかったこのブランドに注目した。新生アイワの中村和臣取締役によると、「十和田オーディオとアイワの関係は深く、かつて、旧アイワ製品もつくっていた」という。その中村氏自身、アイワ出身で11年に、十和田オーディオに来た。今回のブランド復活も「全く考えていなかった」と言うが、復活にはやはり感慨深いものがあるようだ。

 年内には、55型、49型、43型の4Kテレビをはじめ、ラジカセやCDラジカセなどが発売される。今どきカセットと思われるかもしれないが、欧米での需要は高く、日本でも山下達郎などカセットテープで発売するアーティストも増えている。

 くしくも音楽を身近にしてくれた2つのブランドが復活できたのは、多くの人に愛されていたからではないだろうか。

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