マネジメント

日本の個人医院には、経営や実務経験に苦手意識を持つ医師が多いという構造的な課題が存在する。特に、医院の数、医師の数が過剰と言われている歯科医院においては喫緊の課題だ。国民が良質の医療を受け続けられるように、歯科医院経営のサポートをしているのが、MOCALだ。

歯科医院の事務長業務を代行し経営・実務全般をサポート

201803MOCAL_P01

MOCAL株式会社代表取締役会長 紺乃 一郎(こんの・いちろう)氏(左)と 代表取締役社長 今野 賢ニ(こんの・けんじ)氏

 歯科医療施設をめぐる経営環境が悪化している。医療施設数は2011年に6万8千を超えた以降は微増、微減を繰り返す横ばい状態が続いているが、新規開業が減っているわけではなく、開業する数と同じくらいの医院が廃業していることがそれを表している。

 一方で歯科医師の数は増加の一途だ。医師1人当たりの患者数が減少していることに加え、昔と比べると予防効果で虫歯が減っていることもあり、患者の絶対数も減少傾向にある。その上、国の医療費圧縮の方針から診療報酬は減少している。ダブルどころかトリプルパンチを浴びせられ、歯科医院からは暗い話題しか聞こえてこない。

 「何もしなくても患者さまが多数来院する時代は既に終焉しています。これからの歯科医院には経営力が必要。院長は医師なので経営には苦手意識を持つ。大手の病院には経営・事務を担う事務長がいますが、個人医院では専従の事務長を雇用する余裕はありません。当社は、歯科医院の経営をアウトソーシングによる支援サービスでサポートをしています」と語るのは代表取締役社長の今野賢二氏だ。

 同社が提供する「Mr.歯科事務長」は、定期的に同社スタッフが契約医院を訪問し事務長の役割を果たす。そのサービスメニューは主に3つ。①医院への集客、業績向上 ②医院スタッフの採用、労務管理 ③総務、秘書機能である。

 「企業であれば当たり前のことが、医療機関では後回しにされてきた。そこを、企業でマネジメントの経験があるスタッフが担います。そのことで院長は医療に専念することができ、患者さまにより良い医療サービスを提供することが可能となります」と語るのは代表取締役会長の紺乃一郎氏だ。

 歯科医院の経営をサポートしているのはコンサルティングサービスを提供する企業がほとんど。コンサルは改善点を明確にした指導まではするが、実際にそれを履行するのは医院の自己責任だ。それでは医院には新たな負担となる。必要なのは、実務まで代行してくれるパートナーであり同社はまさにその任を担うのだ。

医療機関の構造的課題を解決日本の高齢化社会を支える

 ほとんどの歯科医院は、看板1つとっても開業したときのまま。ホームページの整備も遅れているし、LINEなどSNSを活用するマーケティングなども手掛けていない。ビジネスの世界では普通にやっていることを普通にやるだけで、医院を取り巻く環境は激変し、業績は確実に伸びるそうだ。

 「メール送信やプリンターの設定すらできないという医院も中にはあります。当社は、そのような事務を含め医療機関の中で第2領域と呼ばれる『良質な医療を実践するため』に必要な全ての実務に対応するので、医院にとって欠かせない存在になりつつあります」と紺乃氏。

 「Mr.歯科事務長」は、歯科医院をめぐる構造的な課題を一気に解決する力を持っている。全国から問い合わせが相次ぐが、まだ全てに対応することができていない状況で、現在は関東圏、関西圏、札幌でのサービス展開にとどまっているが順次各地に展開を図っていくという。

 「私は25年以上、歯科医院と関わる仕事をしてきました。その中で歯科医院の課題や院長の悩みをつぶさに見聞きしてきました。医師として優秀な先生が、経営で躓いてしまうこともよくありました。優秀な医師がいなくなることは患者さまにとっては不幸でしかありません。そのような環境をなんとかしたい、という想いが起業の原点です」と今野氏。

 同社は事業の目的に「顧客繁栄主義」を掲げている。それは顧客に本当に感謝される仕事のみを提供するという意味を持つ。同社の顧客は第一には歯科医院だが、その先の患者の満足・幸せを常に意識している。高齢化社会を迎えた日本では、歯科の重要性はますます高くなる。歯の衰えが健康の衰えに直結するからだ。

 「日本人の健康寿命を伸ばすためには歯科にはまだやれることが山ほどあります」と今野氏。

 また、経営と呼べる体制になっていないのは歯科だけではない。他の医療機関も同様の構造的な課題を抱えている。紺乃氏が最後に次のように語った。

 「社名のMOCALは、Make Of Conglomerate, Aim at Libertyの頭文字をとったものです。歯科で基盤を構築した後は、他の診療領域でも同様の課題を解決していくことで、日本の高齢化社会に貢献していきます」

 

MOCAL株式会社

  • 設立/2010年11月1日
  • 資本金/1000万円
  • 従業員数/20人(パート含む)
  • 事業内容/歯科医院向け経営実務アウトソーシング・コンサルティング・セミナー企画運営・システム開発販売、歯科経営出版
  • 所在地/東京都千代田区
  • 会社ホームページ/http://mocal.co.jp/

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年11月号
[特集] AIが知りたい!
  • ・IT未開の地に挑戦 産業構造をAIが変える!
  • ・AIは物理世界がまだ苦手 汎用ロボットの作り方
  • ・データ分析の起点は「何があれば経営に役立つか」
  • ・AI活用事例
  • ・ワトソン君は業務システムと連携する
  • ・米国で加熱する人工知能ブーム AIは21世紀最大のゲームチェンジャーか
[Special Interview]

 小川啓之(コマツ社長)

 「“経験知”に勝るものはない」コマツ新社長が語る未来

[NEWS REPORT]

◆SBIが島根銀行への出資の先に見据える「第4メガバンク構想」

◆家電同士がデータを共有 クックパッドが描くキッチンの未来

◆新薬の薬価がたった60万円! 日の丸創薬ベンチャーは意気消沈

◆1で久々の優勝を果たすもホンダの4輪部門は五里霧中

[総力特集]

 人材育成企業21

 SBIホールディングス/サイボウズ/メルカリ/ティーケーピー/シニアライフクリエイト/イセ食品/センチュリオン/タカミヤ/中央建設/アドバンテック/合格の天使/明泉学園/オカフーズ

ページ上部へ戻る