約800万人と推定される団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」。介護業界はビジネスチャンスと新規参入が増えているが成功例は少ない。チャーム・ケア・コーポレーションが急成長したのは運営力、経営力が入居者の高い評価を得たためだ。(『経済界』2020年4月号より転載) 

下村隆彦氏

チャーム・ケア・コーポレーション社長 下村隆彦(しもむら・たかひこ)

 

 近畿圏と首都圏を中心に介護付有料老人ホームを展開しているチャーム・ケア・コーポレーション。競争が厳しい介護業界では後発組だが、下村隆彦社長は「ニーズのあるところに質の高いサービスを提供すれば成功する確信がありました」と語る。

 祖父から引き継いだ下村建設を率いてきた実績があるものの、介護事業に参入したのは還暦を迎えた時。2005年4月に「チャームやまとこおりやま」(奈良県大和郡山市)を開設したのを皮切りに、現在は54ホームまで拡大した。リーズナブルな価格帯に設定した「チャーム」と「チャームスイート」からスタートして、現在は高級路線の「チャームプレミア」と「チャームプレミアグラン」の4つのシリーズを展開している。

 短期間で急拡大した理由は、ハード面だけでなくソフト面も評価されたからだ。施設運営のポイントとなる開設2年目を経過した既存ホームの入居率は、業界トップレベルの97%に達した。東証一部に上場している介護専業の事業者は同社を含めて数えるほどしかない。現在は介護事業における「量から質への転換」と、不動産事業への本格的な進出を目指しており、19年8月には高級路線の最上位に位置付けている「チャームプレミアグラン松濤」(東京都渋谷区)を開設した。

 「オーナーであるデベロッパーから建物を借りて運営しますが、地域に見合った価格設定、建物のグレードが重要です。富裕層向けはお客さまの絶対数が少ないので満室になるまでに時間がかかり、最初は収益が上がりにくいことを覚悟しなければならず、多くの介護事業者はやりたがりません。でも私は逆にチャンスだと思って他社にまねのできないサービスで差別化を図っています」

 高齢者を対象とした新しい事業モデルとしてスタートした不動産事業はシニア向け分譲マンションと有料老人ホームの自社開発。昨年増資に伴い調達した約41億円の資金を土地の取得費用や建築費に充てる。自社開発した老人ホームは竣工後にREIT(リート)に売却する等の選択肢も広がることから、同社の成長および収益の多様化につながることが見込まれる。

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会社概要
設立 1984年8月
資本金 27億5,925万円
売上高 165億6,009万円(2019年6月期)
所在地 大阪本社:大阪市北区 東京本社:東京都渋谷区
従業員数 2,400人(パート・嘱託・派遣社員含む)
事業内容 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営など
http://www.charmcc.jp/
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