小売業向けデータ分析システムの開発・導入を行い、業界をリードしてきたデータコム。市場を広げるために昨年、マーティング室も発足。小売業の未来を見据えた同社の取り組みについて小野寺修一代表(写真左)と小野寺裕貴取締役(右)に話を聞いた。(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)
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小野寺修一代表と小野寺裕貴取締役
小野寺修一代表がコンピュータメーカーを退社して起業したのは40歳の時。小売業システムの価格破壊を通じて業界への貢献を目指した。
「当時、分析に時間がかかる上、POS分析システムは高価だった。そこでパッケージ化によって価格を下げられれば、全国の小売業のデータ経営に貢献できると考えた」
以来、10秒ほどしかかからない検索時間に感動が起こり、気が付けば全国の小売業にPOS分析システムの導入が広がっていた。ワークマンをはじめ、同社のPOS分析システムの導入で飛躍的な成長を遂げた企業も多い。ここにデータ分析の変革が実現した。
「POSシステムが第一の変革、瞬時に売り上げを検索できる当社のPOS分析が第二の変革、自動発注が第三の変革、今後はAIを使った第四の変革で小売業のDX化を実現していきたい」と展望する。
他方、息子の裕貴取締役は、マーケティングに力を入れ、新たなビジネスの構築を考えている。リテールメディアが進む米国に視察に行き、専門誌で情報発信も行っている。
「技術の進歩により分析システムを他社でも作れる時代が来ると予想される。システム開発だけではなく、データをどう使うか、海外の事例からも学び、アイデアを広げる必要がある」と話す。
将来を見据え、人材採用の方針も変化してきた。これからは事業の多角化を念頭に、技術だけでなく会社のビジョンに共感する人材の採用に注力していく。
「必ずしも小売業だけでなく、他の業界も見ることのできる人材の育成や、ビジョンを浸透させるための環境づくりをしていきたい」
創業時から「顧客の感動を創出する」ことを理念として掲げてきた小野寺修一代表。
「当社はシステムの販売を目的とせず、顧客の立場で課題解決に向き合ってきました。今後も売った・買ったという世界ではなく、あるべき姿を目的とした開発を展開していく」と熱く話す。
これまで培ってきた技術力と先を見据えたマーケティング力の両輪で会社を成長させていくデータコムに注目したい。
会社概要 設立 1994年4月 資本金 6,730万円 売上高 14億6,000万円 本社 宮城県仙台市 従業員数 94人 事業内容 小売業向けのシステムの開発・販売、商品分析システム、顧客分析システム、Web生鮮発注システム、顧客管理システム等 https://www.datacom.jp/ |