(雑誌『経済界』2025年5月号「注目企業」特集より)

サイバーエージェントの2023年9月期決算は、2期連続減益だった。しかし藤田晋社長は「23年を底に増収増益にコミットする」と反攻を宣言した。
それから1年後の24年9月期決算は、売上高が前年比11・5%増の8029億円、営業利益は同70・4%増の418億円と、コミットメントを達成した。
特筆すべきは、主要3部門のメディア、広告、ゲームの各事業に大幅な利益改善が見られたことだ。
ゲーム事業は21年にリリースした「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒットの反動で、過去2期減収だったが、新ゲームのヒットで3期ぶりの増収となり、「富士山型の売り上げから脱した」(藤田氏)。
広告事業も、これまでAIやDXに積極投資したことで利益は一時伸び悩んだが、今では4四半期連続で2桁増益するまでになった。
そしてメディア事業。インターネットテレビ「ABEMA」への先行投資のため、多額の赤字を出していた。ところが前9月期は、損益が前年より95億円改善して19億円の赤字となり、黒字化が見えてきた。
その勢いは今期も続いており、メディア事業(今期からメディア&IP事業)は第1四半期14億円の営業利益と、いよいよ「利益貢献を開始した」(藤田氏)。
これまでのサイバーエージェントの戦略は、広告とゲームで利益を積み上げ、メディア事業に投資、中長期の柱に育てる、というものだった。しかし今期からはメディア&IPと広告で利益を積み上げ、ゲームでヒットを狙う、というものに変化した。高収益企業へのチャレンジが始まった。