「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。本シリーズでは、20年間で2万人以上のファッションをコーディネートしてきた、ファッションスタイリストジャパン(FSJ)の西岡慎也氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。
相手を不安にさせない心配り
TPOに合わせてファッションを設計することが重要なのは当然ですが、これを実践している政治家として、政界のファッションリーダーとも呼ばれている麻生太郎大臣が挙げられます。
麻生さんを見ていると、ファッションにおけるクラシックの概念をしっかりと守っているのが分かりますし、服の合わせ方もきれいです。
例えば、強めに話さなければいけない場面では暗めのネイビーのスーツ、日差しが強い季節に屋外に出るときはライトグレーのスーツに薄いブルーのネクタイを合わせるなど、周りに気を配っている様子が見て取れます。
相手に「この人、何を考えているのか分からないな」と思わせない服装で、安心感を持たせることをおそらく意識しているのでしょう。エッジが効きすぎた服装は、相手を不安にさせるものです。
政治家と言えば、小池百合子東京都知事は、色でインパクトを与えることに成功しました。緑は爽快感や自然なイメージを与えます。そこで、「小池百合子=緑」のラべリングをしたのは非常に上手いと言えます。
仕事で絶対にNGなネクタイは?
では、政治家や有名人でない一般の人が、自分を印象付けるためのイメージカラーを作るのはアリでしょうか。
私は全く問題ないと思います。ただ、TPOはやはり注意してください。例えばレジメンタル(ストライプ)のネクタイは、海外では階級を表すことがあるので、外国人と商談をする際などは要注意です。
ハイブランドのネクタイも、仕事の場で着用するのにはあまり向いていません。ブランド色が強すぎると、肝心のその人自身や商品などが相手の印象に残らないからです。ネクタイはアイコンとしてかなり強力なので気を付けなければいけません。
プレゼントなどで高級ブランドのネクタイを貰った場合は、デニムに合わせるなど、カジュアルの場面で着用すると良いでしょう。
最後に、仕事で絶対にNGなネクタイはアニマル柄です。経営者の方が女性社員にプレゼントでもらったアニマル柄のネクタイを褒められ、そればかり着けるようになってしまったなどという話も聞きます。
一般的に女性は、男性のファッションについて正直に話してくれないものです。プレゼントを渡しておいて、褒めて野放しにするというのは考えてみれば酷い話ですが(笑)、自分で知識を身に付けて気付くしかないのです。
西岡慎也のワンポイントアドバイス
ブレスレットやネックレスなどの小物をたくさん着ける人もいますが、余計なものを着けすぎると安っぽく見えてしまいます。過度に着飾らず、例えばネイビーのジャケット、グレーのパンツ、白かブルーのシャツといった基盤をしっかりと作って、色はネクタイを入れても全身でせめて3~4色に抑えると安心できます。シンプルさこそ、一番の安心と自信につながるのです。
(にしおか・しんや)1979年生まれ。茨城県土浦市出身。21歳で米輸入会社ワイルドウエストジャパンに就職し、約4千人のファンを獲得。2001年、セレクトショップ「WITH PREASURE」を独立開業。従来のアパレルの販売方法ではなく、コンサルティングを中心としたコーディネートの手法を確立する。10年にファッションスタイリストジャパンを設立し、多くの著名人、エグゼクティブの顧客を獲得し、現在に至る。
「エグゼクティブのための インプレッションコントロールセミナー」(参加無料)
講師:西岡 慎也(株式会社ファッションスタイリストジャパン 代表取締役社長)
日時:6月21日(水)15:00~17:00
定員:6名(男性限定)
会費:無料
会場:東京都港区白金台5-4-7 バルビゾン25番館4F(株式会社ファッションスタイリストジャパン 本社セミナールーム)
地図:http://mail.omc9.com/l/
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