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産業界と行政の連携で関西をよみがえらせ世界に魅力をアピール 関西経済同友会 生駒京子

関西経済同友会 代表幹事 生駒京子

関西経済同友会では19年ぶりの女性代表幹事が就任。生駒京子代表幹事は、一経営者として、また大阪で育った一生活者の感性と実行力を生かし、関西ひいては日本経済の再復活を目指す。個性溢れる地域のポテンシャルを生かすことで期待できる関西経済の未来とは。(雑誌『経済界』「関西経済! 次の一手!特集」2023年3月号より)

生駒京子・関西経済同友会代表幹事のプロフィール 

関西経済同友会 代表幹事 生駒京子
関西経済同友会 代表幹事 生駒京子
いこま・きょうこ──1956年京都市生まれ。大阪電気通信大学工学部卒業。94年プロアシスト設立。13年に内閣府「女性のチャレンジ賞特別部門賞」受賞。大阪商工会議所第一号議員、大阪産業局理事なども務める。21年より関西経済同友会代表幹事就任。

明確な未来構想を持ち関西の中小企業が目覚める時

── 代表幹事に就任されて、関西の現状をどのようにご覧になっていますか。

生駒 かつて大阪経済の象徴であった産業の多くは東京へ、ものづくりの中心はアジアへ流出した影響は大きく、地盤沈下が進みました。大企業を下請けとして支えてきた地元の中小零細企業は行き場を失ったままです。

 ただし、見方を変えれば、多種多様な業界で素晴らしい技術を持った企業が揃っていることは強みでもあります。製造、広告、金融、創薬企業などは関西から発祥しているところも多く、そのDNAは付加価値として地域に息づいています。

 岸田総理の掲げる「新しい資本主義」とは、産業界が国や地域と一緒になって創り上げていくこと、と私は解釈しています。両者が互いに向き合い話し合う動きは進んできていると感じます。

 近年の大阪は、来訪客の要望に振り回された結果、オーバーツーリズムとなり、アイデンティティが失われつつあります。私が子どもの頃の心斎橋は、おしゃれをしてぜいたくを味わうホンモノで溢れる憧れの街でしたが、現在は粋な街の姿は薄らいでいます。

 父に手を引かれ、ワクワクしながら巡った電気屋街の日本橋は、今やコンセプトが不明瞭です。量販店では扱わない小さな素晴らしい家電メーカーの商品を集めるなど、何かしら特色を出すことが必要です。今必要なのは、行政と産業界が「どのような街にしたいか」を明確に構想することです。

 もう一つは、点で存在している大型店や魅力あるスポットを、歩いてつながるような人の流れをつくることです。賑わいは行き交う人たちと街並みによってつくられます。動線ができれば点が線に、面に、そしてデジタル技術によって立体にもなります。

 大阪だけでなく、関西全体が魅力溢れる地域として自信と誇りを取り戻すことが必要です。府県を越えて関西の発展を支える関西広域連合の活動を応援していきます。

万博は関西の魅力発揮の好機。関西から日本復活を目指す

── これからの関西経済の可能性をどうお考えですか。

生駒 2025年の大阪・関西万博を皮切りに、27年にはワールドマスターズゲームズ関西、29年MICE・IR開業と、関西の魅力を世界に発信できる大型イベントが目白押しです。ヒト・モノ・カネが動き、関西が未来永劫サステナブルに生き残るためのスタートラインに立つ絶好のチャンスです。

 1970年の大阪万博は大盛況を博しましたが、その後は世界的発展の波に乗り遅れました。今回は関西のポテンシャルを再び目覚めさせる起爆剤になり得るものです。万博は会場だけで行われるものではありませんし、資金がある企業だけのものでもありません。前後約1年間にわたり、関西一円に世界中から人々が集まります。中小を含めた強いニッチ企業が発展を見据え、世界にアピールするチャンスなのです。

── 関西経済同友会としての取り組みを教えてください。

生駒 これまで名だたる大企業の方が代表幹事を務めてこられました。私は自身の特徴でもありますが、フレンドリーな代表幹事であろうと決めました。同友会は経営者が切磋琢磨する勉強の会として調査・研究、そして政策提言をしながら成長していますが、今年度はこれらの取り組みを形にするべく、また私自身も汗をかくために「実行・実現」の委員会を立ち上げました。

 中でも大阪・関西EXPO委員会は、万博開催に向けて機運を醸成するだけでなく、その先の関西経済の未来に資する活動にも取り組んでいます。例えば、万博への修学旅行誘致活動を支援することを決めました。未来を担う子どもたちに「こんな街をつくりたい!」「こんな仕事をしたい!」といったビジョンが湧くよう、会員企業の工場見学や体験の場が提供できるといいですね。小さな商店や企業がデジタル技術を取り入れながら、「金魚のまち」である奈良県大和郡山市の「バーチャル金魚すくい」や、市内を結ぶ移動ツールなど、工夫次第で多種多様なアトラクションを繰り出せるはずです。

 関西には、もともと人と人をつなげる文化や食、芸能、そして人柄があります。アイデアを出し合い、地域全体でワクワクしながら楽しむことが、新たなムーブメントとなってこれからの関西経済を再興させるのです。関西が誇る企業がグローバルにつながるチャンスは既にその姿を見せています。

 関西経済同友会も全国の同友会と連携し、関西から日本の復活を目指して、役割を果たしていきます。