近畿圏と首都圏を中心に介護付有料老人ホームを展開するチャーム・ケア・コーポレーション。コロナ禍でも平均94%という高い入居率を誇り、新規のホーム開設も続々と行っている。月額100万円以上という部屋もあり、都内有数の高級住宅地に開設した最高級有料老人ホームも話題だ。(雑誌『経済界』「関西経済! 次の一手!特集」2023年3月号より)
下村隆彦・チャーム・ケア・コーポレーション会長兼社長
中期目標は売上高1千億円。首都圏で成長スピードを加速
高級住宅地として知られる東京・御殿山のソニーの歴史資料館跡地に2022年11月にオープンした「チャームプレミアグラン御殿山弐番館」。
立地、建物のグレード、サービスの3つが最高級の富裕層向け有料老人ホームだ。コンシェルジュがさまざまな要望をサポートし、食事にも趣向が凝らされている。
「吹き抜けの開放感あるエントランスも特徴で、富裕層の方が終の棲家として選ばれるのにふさわしいホームとなっています」と下村隆彦代表は話す。
23年2月には参番館もオープン予定で、南麻布、松濤、池田山、御殿山と合わせて6つの最高級有料老人ホームを有することになる。
「当社の老人ホームには、中価格帯のチャーム、チャームスイート、高価格帯のチャームプレミア、チャームプレミアグランの4シリーズがあります。富裕層は限られているので、チャームプレミアグランが満室になるには他のシリーズよりも時間がかかります。しかし、満室になれば収益が一挙に上がることが見込まれます」
近畿圏ではチャームプレミア御影を開設し、24年3月にはチャームプレミア京都烏丸六角を計画するなど、やはり立地の良さが魅力だ。
「周囲の雰囲気にふさわしい格調高い老人ホームを開設することで、地域の方にも好意的に受け入れていただいております」
第1号ホームの開設から17年経ち、今期は84ホームを運営。来期は15ホームの開設を予定している。
近畿圏から首都圏への進出では、ヒューリックや三菱地所レジデンスパートナーとなって開設を進めることで信用を積み重ね、申し分のない立地を紹介してもらえるようになったという。
「首都圏は近畿圏に比べてパイが大きいので、首都圏に進出することで成長のスピードを加速できました。21年は当社のホームでコロナのクラスターが発生し、最大2カ月新規入居の営業活動がストップしたことが収益のマイナス要因になりましたが、コロナ禍は徐々に収束していくことでしょう」
創業期から成長期のステージに入り、中期目標は連結売上高1千億円を掲げている。
不動産事業は第2の柱。会話ロボットも共同開発
首都圏進出で信用力や資金力が増したことで、不動産事業にも注力するようになった。
「土地を売りたいという情報をたくさん得られるようになり、自社で土地を買い、自社で建てて、それを REIT等に売却するという事業を確立しています。収益の安定化にもつながり、不動産事業は第2の柱と考えています」
既に仙川、大田中央、大田区仲池上の3つの他社運営の案件、自社運営の苦楽園など、複数の案件が進行している。
「私は建設業出身なので不動産分野はいわばプロです。介護施設だけでなく、賃貸マンションの売買などにも力を入れていく予定です」
そして第3の柱となるのがAI対話事業だ。技術開発しているウェルヴィル社に出資し、高齢者を対象とした会話ロボット、アバターを共同開発している。
「高齢者たちは話し相手を求めているので、ロボットやアバターを活用していただくことで、孤独が癒され、認知症予防にもなります。医療機関と連携することで健康情報も把握でき、独居の場合はご家族とパソコンでつなぐことにより安否確認もできるでしょう」
ロボットやアバターが人間としっかりコミュニケーションを取れる精度までになるには、まだ研究が必要とされる。
現在はホームの入居者の方にアバターと会話してもらい、自由会話の実現を目指している。
「65歳以上の高齢者は約3650万人と言われています。会話ロボットやアバターが完成して、月1万円で1万人に利用してもらうと仮定すると、月1億円、年間12億円の売り上げになります。AI分野の事業化、商品化は大きな課題です」
25年には大阪・関西万博も予定されている。
「ロボットやアバターが登場して、ガイドができれば話題になるので、当社ができることがないか考えているところです」
介護だけでなく複合事業にも力を入れることで、強い企業としてのさらなる成長を目指す。
会社概要 創 業●2005年 資本金●27億5,925万円 売上高●290億7,183万2,000円(2022年6月期) 本 社●大阪本社:大阪市北区、東京本社:東京都渋谷区 従業員数●約2,850人 事業内容●有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営など https://www.charmcc.jp/ |