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5四半期ぶり黒字回復 AIブームの追い風で始まる「攻めの経営」 孫 正義 ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループ 会長兼社長 孫 正義

(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)

ソフトバンクグループ 会長兼社長 孫 正義
ソフトバンクグループ 会長兼社長 孫 正義 そん まさよし

20年ほど前、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は次のように語っていた。

「池のフナの子どもで生まれるのか、鯨の子どもで生まれるのか。どんなに小さな鯨でも巨大なフナよりは大きい。事業ドメインを決めるのは何の子どもで生まれるのかということであり、経営者に一番大切な判断だ。だからデジタル情報革命を事業ドメインに選んだ。一時的なアップダウンはあっても、デジタル分野は成長し続ける」

ITバブル崩壊から間もない時期で、しかも新規参入したADSL事業が毎年1千億円以上の赤字を垂れ流していた。その前途を誰もが危惧していたが、それに対する孫氏の答えが先のものだった。

孫氏のこの思いは今も変わらない。

SBGは2022~23年度の2年間で2兆6千億円の最終赤字を計上した。日本企業として過去最悪の赤字だった。原因はソフトバンク・ビジョン・ファンドなどの投資先の株価が下落したためだ。そのため強気の経営で知られる孫氏も「(これからは)守りの姿勢でいく」と言わざるを得なかった。

その風向きが変わった。今期第3四半期、SBGは9500億円の最終利益を出した。黒転は5四半期ぶり。投資先の株価が回復したためで、中でも8年前に3兆3千億円で買収した英アーム社が牽引役となった。

アーム社はAIブームが追い風になり、業績を伸ばしている。「ほら、アップダウンはあっても成長し続けると言ったでしょう」との孫氏の声が聞こえてくるようだ。SBGの反攻が始まろうとしている。