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独自の会員制プライベートバンキングサービス「オルクドール」事業が好調 北川尚子 東海東京証券

東海東京証券 北川尚子

政府による資産所得倍増プランや2024年から始まった新NISAの影響もあり、株式市況は好調を維持している。マス層における個人の証券取引や短期的なブローカレッジ取引はネット証券の独壇場とも言える様相を呈しているが、きめ細かいコンサルティング力が求められる富裕層ビジネスでは東海東京証券が存在感を示している。(雑誌『経済界』2024年11月号「リゲイン中部経済」特集より)

東海東京証券 北川尚子社長のプロフィール

東海東京証券 北川尚子
東海東京証券 北川尚子

 名古屋に本拠地を構える東海東京証券はネットチャネルもあるが、最も大事にしているのは対面営業のスタイル。北川尚子社長は「現在、当社では資産管理型ビジネスへの移行を図っており、この戦略を遂行するためには対面でのコンサルティング営業が不可欠」と語る。

 これまで同社が先行して取り組んできた富裕層ビジネスは、現在、内外のさまざまな金融機関がしのぎを削っている。

 同社は、他社に先駆け15年に独自の会員制プライベートバンキングサービス「オルクドール」ブランドを立ち上げた。翌16年には名古屋市内に高級感あふれるサロンを開設、一流レストランの料理が提供されるほか、クラシックコンサートや絵画展が催される。メンバーは企業経営者、上場企業役員、医師などさまざまで、開設当初から話題を集め、19年には東京(日本橋)に2拠点目となるサロンをオープン、24年には東京青山に3拠点目を開設した。メンバー数は既に3千人を突破しており、メンバーの預かり資産は24年3月末時点で対前年比約30%増の8436億円に達している。

 今後もオルクドールの一層の拡大を図る一方で、マスアフルエント層と言われる金融資産3千万円から1億円の層をターゲットとした戦略を展開していく。「この層は世帯数が多いボリュームゾーン、オルクドールで培ったノウハウをマスアフルエント層のお客さまの求めにどのように提供できるか検討しています」

 対面営業に軸足をおいた証券会社として掲げるテーマは「ファミリー・ポートフォリオマネージャー」だ。

「資産運用、タックスプランニング等、総合的な家計金融資産管理を任せていただける存在でありたいと考えています」

 日本証券アナリスト協会は今年「資産形成コンサルタント」資格の認定を開始したが、同社では営業職の全員に取得を呼びかけた。

 「米国の証券セールスがリスペクトされているのは、お客さまの声に常に耳を傾け、ゴール実現に向けた提案力が顧客より信頼を得ているから。当社の営業員もお客さまから信頼される存在になってほしいと思います」 

会社概要
設  立 2008年10月
資 本 金 60億円
営業収益 785億3400万円
     (2024年3月期)
本  社 愛知県名古屋市中村区
事業内容 金融商品取引業
https://www.tokaitokyo.co.jp/