文=小林千華 Photo=©︎JAPAN eSPORTS AWARDS(雑誌『経済界』2025年4月号「『ゲーム』を超えるeスポーツ」特集より)
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1月15日、パシフィコ横浜・国立大ホールで開催された「日本eスポーツアワード2024」表彰式。今年で2度目の開催となった本アワードは、年間を通して日本のeスポーツ界で積み上げられたさまざまな功績を称えるものだ。受賞者はファン投票の上、審査委員会の選考によって決められる。今回のファン投票では、4カ月間で累計14万票が投じられた。
当日、表彰式の開始は17時。しかし会場周辺には、午前中から開場を待つ人々も見られた。開会前にロビーなどで行われたレッドカーペットイベントや、プレーヤーのサイン会・撮影会にもファンが詰めかけた。
表彰式では、「年間最優秀eスポーツプレイヤー賞」を含む18部門の受賞者に、プレゼンターからトロフィーが手渡される。JeSU会長・早川英樹氏、今回のアワードを共同主催する横浜市長・山中竹春氏が開会あいさつを述べた後、菅義偉元首相からのビデオレターも披露された。
本アワードの大きな特徴は、大会で優秀な成績を収めたプレーヤーやチームの他、業界全体の発展やeスポーツを通した社会貢献に寄与した人物、企業、団体も賞の対象となること。その象徴である「eスポーツ功労賞」に今回選ばれたのは、ゲームデザイナーの犬飼博士さん、プロゲーマーの梅原大吾(ウメハラ)さん、韓国語通訳者のスイニャンさんの3人だ。
中でもスイニャンさんは、日韓のeスポーツ大会などで韓国語通訳を行ってきた人物。eスポーツ先進国である韓国の事情に詳しく、独特な用語の飛び交う大会で、素早く正確に通訳をこなす。また、ライターとしてeスポーツの魅力発信に貢献している点も評価された。受賞スピーチでスイニャンさんは、「(今回の受賞は)eスポーツに特化した通訳の重要性が評価されてのことだと思う」と喜びを語った。
アワード第1回の昨年は、eスポーツ関連の法的規制への対応に尽力した弁護士にも、功労賞が授与された。業界を外から見ているだけでは一見分かりづらい功績も、全ての人に見える形で称え、業界活性化を底から押し上げたいアワードの狙いが見て取れる。
その後もジャンルごとの優秀プレーヤー、ストリーマー(配信者)やキャスターなどの表彰が続き、いよいよ最後に「年間最優秀eスポーツプレイヤー賞(MVP)」の発表へ。
選ばれたのは、「格闘ゲームプレイヤー賞」とW受賞となるときどさん(REJECT所属)だ。ときどさんは、「ストリートファイター」をはじめとする格闘ゲームで主に活躍し、世界大会優勝の実績も持つ東大卒プロゲーマー。好成績をキープするだけでなく、テレビ「情熱大陸」出演や執筆活動、企業アンバサダーとしての活動を通して、若手プレーヤーの模範となっていることも評価の決め手となった。ときどさんの選出は、審査委員会の満場一致で決まったという。ときどさんは「今よりずっと厳しい時代にプレーし続けてきた先輩方のおかげで、こんな栄えある賞を頂けた。僕がまだまだ業界を引っ張って、彼らの思いも伝えたい」とスピーチした。
本アワードは、Twitch、YouTubeで配信も行われ、のべ40万人以上が視聴した。JeSU発足時からの悲願だったというこのアワード。eスポーツの表舞台だけでなく、関わる全ての人の思いを載せた式典となっている。