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海外シェア拡大の成長戦略実現に向け設備や研究開発分野で積極投資へ――金子 雄二(ソディック代表取締役社長)

ソディック代表取締役社長 金子 雄二氏

放電加工機で世界トップクラスのシェアを誇るソディック。研究開発力とグローバル展開が強みで、製品の設計から成形に至る「ものづくり」の全行程をサポートする。更なる業績拡大に向け、積極的な投資を行っている。

成長戦略の一環としてマルチファクトリーを建造

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株式会社ソディック代表取締役社長 金子 雄二(かねこ・ゆうじ)

 金属3Dプリンタ「OPMシリーズ」を投入することで金型づくりに大革命を起こしたソディック。決算月の変更で2017年度は変則的な9カ月決算となるが、12カ月決算に換算した17年12月期(1月~12月)の連結売上高は738億円、営業利益75億円の見通しとなった。この数値は中期経営計画で18年12月期の目標だった売上高712億円、営業利益70億円を上回ると同時に、リーマンショック前に記録した70億円の営業利益という同社の過去最高実績をも上回るものだ。

 好業績の背景には複数の理由があるが、金属3Dプリンタなどの工作機械事業においては、17年3月に国が補正予算として1千億円を計上した「ものづくり補助金」に関係する受注が売り上げ増に貢献した。でもこれは一時的な要因にすぎず、中長期的に見ると自動車とスマートフォン分野の将来性が高い。自動車ではEV化、PHEV化が全世界的に進んだことで、部品の軽量化のニーズが高まり大型の金型や一体型の金型の需要が一気に膨らんだ。またスマートフォンでは防水機能の強化や、高機能化の影響でレンズの薄型化が進んだことで、より高精度な金型が求められ、同社の金型成形技術へのニーズが格段に上昇した。

 「EVとスマートフォンはプロダクトとしての大きさは正反対ですが、いずれも高い精度が要求されます。当社が提供する工作機械も、ローエンドよりもハイエンドの製品を求められるケースが増えてきていて、販売台数に加えて単価も増額してきています。この2つの分野に関しては、数年間は今の好調なトレンドが持続すると見ています」と金子雄二社長は語る。

 マーケットの拡大が期待できる絶好のタイミングで、同社は国内の生産設備を増強する。これは成長戦略の一環で、18年3月には石川県加賀市の加賀事業所で「物流センター」が竣工し、10月には「マルチファクトリー」が始動する。総額約43億5千万円を投じる同事業所の設備増強の目玉は、1万平方メートル(予定)規模となるマルチファクトリーだ。放電加工機、マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、射出成形機など同社が誇る全ての製品の生産ができ、IoTを活用することで、生産効率を向上させ、短納期にも対応できる。さらに、福井県坂井市にある物流センターを敷地内に移転することで、ロジスティクス効率を高め、スピードアップとコスト削減が実現する。

 また横浜市にある本社の敷地内では現在、5月の竣工に向けて急ピッチで研究棟の建設が進んでいる。

 日本のメーカーは80年代後半から工場の海外移転を積極的に進めてきた。同社でも中国やタイに生産拠点があるが、なぜこの時期に国内の設備を強化するのか。

 「中国は人件費が急騰しているのでコストが安いとはいえなくなっています。それに当社の研究開発技術は中国にはまだありません。特に放電加工機の場合は、機械としての構造は理解できても、放電回路を理解できなければ作ることができません。日本国内には長年蓄積してきたノウハウがある。だから日本国内なんです。このことは逆説的に、この分野は非常に参入障壁が高いということの証明にもなります。当社を脅かす企業は当面出てこないと考えています」

北米市場の強化で海外売上高比率を7割超へ

 次代の成長エンジンとして期待される大型の金型用の3Dプリンタだが、航空機分野まで用途が広がった「OPM350L」は、好調に引き合いが出ている。自動車のEV化に代表されるように省エネの流れは今後ますます加速し、あらゆる分野で軽量化が求められる。その結果として、金属から樹脂への大きなシフトチェンジが起こると考えられているが、そのときに必要なのは大型かつ高精度な金型に対応できる同社の金属3Dプリンタだ。

 これだけの技術力を持ちながら、同社の海外売上高比率は6割前後だという。技術力や精度が高過ぎて、逆に輸出の障害となることもある。例えば同社のマシニングセンタにはリニアモータとリニアスケールが標準装備され、ミクロン単位の精度を誇るが、それが輸出規制に該当し、非ホワイト国向けには輸出承認が必要となる。

 「金型で一番大きなマーケットは中国で、当社の金属3Dプリンタに対する評価はとても高いのですが、マシニングセンタが装備されているため、国の許可がおりるまで時間がかかります。希望する納期に間に合わせることができないため、中国企業はドイツの3Dプリンタを仕入れるようになります。ドイツの製品も悪くはないのですができるのは造形だけです。当社の金属3Dプリンタは、加工から仕上げまでワンストップで対応できるので、規制問題をクリアできれば、商機が格段に増えると考えています。当面、規制のある国ではターゲットを金型から部品加工にシフトすることも考えています」

 海外販売を強化していく中で、今、期待しているひとつは金型、航空機分野で世界最大の北米市場だ。ショールームが拡充された米国本社は今春の竣工に向けて現在建替え中だ。中国やアジアに強く、独自の技術力に定評のある同社が北米市場を席巻すればグローバル展開は一挙に加速するだろう。

 

株式会社ソディック

  • 設立/1976年
  • 資本金/207億円
  • 連結売上高/738億円(2017年1月~12月まで、予想)
  • 従業員数/3415人(連結、2017年3月末)
  • 事業内容/工作機械、産業機械、食品機械などの製造販売
  • 所在地/神奈川県横浜市
  • 会社ホームページ/https://www.sodick.co.jp/

 
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