経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

スポーツへの想いを持つ社員とともに体操教室を通じて子どもたちの成長を目指す

人材育成企業20

スポーツは勝ち負けだけではなく、ルールを守り目標に向かって努力することにも大きな意義がある。その意義を大切にする体操教室を展開するスポーツコミュニティは、教育としてのスポーツの意義があらためて問われている今、その企業姿勢が注目されている。

スポーツの想いを実現する体操教室を展開

スポーツコミュニティ株式会社 代表取締役 中村伸人(なかむら・のぶと)

スポーツコミュニティ株式会社 代表取締役 中村伸人(なかむら・のぶと)

1991年の大学設置基準の大綱化による自由化、2002年の学校教育法の改正による設置認可制度の見直しによって、大学は時代に合った新しい学科(コース)が新設できるようになった。中でも医学、生理学、栄養学などの観点からスポーツを学ぶスポーツ学科の人気が高く、新設が増えてきた。

「人気の理由は運動部でのスポーツの楽しさ、練習の厳しさとその先の達成感を経験した高校生が『スポーツに関わる仕事をしたい、素晴らしさを教えたい』と、進学を希望するからです。そこには勝敗や技術の向上だけではない仲間の大切さ、思いやり、チームワーク、諦めない心などスポーツを通じて人間として成長してきたという想いがあります。でも、その想いを実現できる会社や施設は少ないのです。当社の体操教室は、ただ体操を教えるだけではなくスポーツを通じて人間として成長を目指し、スポーツの想いを子どもたちと一緒に実現していく場なのです」と、説明するのは小学生向けの体操教室を関東中心に関西、九州地区で600拠点を展開するスポーツコミュニティの中村伸人社長。

スポーツ学科の進路としては保健体育の教師、スポーツ施設のインストラクター、医療施設の理学・作業療法士がある。しかし、スポーツ学科の増加で保健体育の教師の選択倍率は上がり、筋力トレーニングをメーンとした小規模なトレーニング施設が急増し、医療施設では高齢者の患者の割合が多いなど、スポーツを教えることや選手をサポートするところは減っている。特にトレーニングによるダイエットブームの影響で「スポーツ=ダイエット」というイメージが強くなってきた。

そんな中で「やっぱりスポーツを教えたい、関わりたい」との想いから同社に転職する社員も多く、新卒においても大手求人会社の人気企業ランキングの教育部門で5位となりスポーツ関連企業の就職先として人気が高い。

「当教室では社員は『コーチ』でなく『先生』、子どもたちを『生徒』と呼びます。体操だけではなく、挨拶やお礼など礼儀からルールを守る大切さ、集団行動のマナーも教え、ルールやマナーを守らない時には注意や指導も必要です。そのためにも『コーチ』ではなく『先生』になるのです。スポーツ部門ではなく教育部門での人気ランキング入りでも分かるように、従来の体操、スポーツ教室とは違う新しいカテゴリー『スポーツ教育』の企業として認められてきました」

スポーツと教育の両方を併せ持つ体操教室を展開し、スポーツビジネスの新しいモデルとして注目されているスポーツコミュニティ。大学で体操選手として活躍してきた中村社長自身のスポーツへの想いが、同社を作り上げてきた。

体操の楽しさがスポーツの潜在需要を発掘

野球やサッカー、最近では卓球が人気のスポーツ教室。運動神経やバランス感覚を養える体操教室は昔から人気の習い事ではあるが、他のスポーツ教室の市場規模に比べるとそれほどの伸びはなかった。

「実は体操は、幼稚園や保育園の園児には大人気の授業。小学生になっても体操を続けたいと思う子どもたちも多いのですが、続けられる体操教室が少ないのです。当社の教室の会員数は現在1万5千人、5年後までに全国に拠点を増やし5万人を目指します。園児のほとんどが体操大好きという大きな市場があるだけに、当社のモデルであれば実現可能だと考えています」と、中村社長は意欲をみせる。

就学前であれば体格や運動神経に大きな差はないが、小学生にもなると体格や筋力、運動神経は成長度合いによって一人一人違ってくる。そこにできる、できないという差が生まれ、楽しかった体操が苦手となる。これが体操教室の市場が伸びなかった理由の一つである。

「体操が苦手、自信がなくなった子どもたちに楽しさを教えることができれば、大好きな体操だけに生徒は増えていきます。当社の教室の特徴は、最初にトランポリンを体験してもらうことにあります。トランポリンで飛び跳ねることで誰でも体操の楽しさを体感し、高くきれいに飛ぶためのバランス感覚や身体の使い方を学べばもっと楽しくなります。その時に重要なのが教える先生の体操理論に基づいた指導法です」

同社では入社後、先生として指導するために体操理論と指導法、安全のための補助を1カ月間の研修で学んでいく。理論に基づく正しい指導と安全な補助で学ぶことで、子どもたちは正しく無理なく上達していく。

「体操の楽しさをトランポリンで教え、できなかった跳び箱や鉄棒が正しい指導法と補助でできるようになります。できなかったことができた達成感、できたことで次の課題に挑戦する中で子どもたちは成長していきます。体操を通じて子どもたちの成長を間近で感じる先生たちも、子どもたちの成長をサポートするために自分自身の成長を目指します。当社の体操教室は、先生と生徒が共に成長する『共育』の場であると考えています」と中村社長。

人間としての成長を目指す日本古来の「道」の精神を体操教室で実現するスポーツコミュニティ。そこで働く社員、学ぶ子どもたちと保護者、同社の「共育」の賛同者の輪は全国に広がっていく。

[会社概要]
設立/2002年
資本金/3,000万円
売上高 8億円
所在地/横浜市西区
従業員数/130人
事業内容/スポーツを媒介としたスクール事業、セカンドキャリア事業、障がい者アスリート支援事業、部活動支援事業、アカデミー事業等

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