マネジメント

富裕層専門のカリスマFP 江上治

学生時代のバイトで年収1千万円に

 不動産に関するサポートサービス全般を扱うフューチャーイノベーションを2016年8月に立ち上げた新倉健太郎さんは、昭和51年(1976年)生まれ、41歳、バリバリの若手経営者だ。

 実社会経験は高校時代からで、ピザチェーンでアルバイト。猛烈に働いて役職も給料も上がった。なぜ高校時代の新倉さんがこんなにも働いたかというと、高校2年生から学費が完全自腹で、自らの学費を自らで稼ぐ必要があったからだ。

 大学時代も引き続き同じピザチェーンで働き、大学生ながら年収は800万円から1千万円を稼ぎ出した。

 大学卒業後は財閥系の大手デベロッパーに入社。日本を代表する大型商業施設の開発にも関わった。37歳で不動産投資のベンチャー企業に転職。入社3カ月目で役員になり、年収も1億円超に。そうして3年後の去年、独立。ベンチャー企業転職から4年で一気に駆け上がって今に至るわけだが、そのベンチャー転職を機に、新倉さんは両親と縁を切った。

恥ずかしい両親と絶縁自分を取り戻した

 もともと両親は湯河原で蕎麦屋を経営していた。夫婦喧嘩が絶えない家庭で、とうとう新倉さんが中学1年生のときに離婚。親権は父親が持ったが、中学は学校に近い母親の家から通った。高校は父親の家の近くにあったから、父親の家から通った。父も母も、新倉さんは好きではなかったという。

 その後も母親、父親との関係性での問題や悩みは長い間絶えなかった。そうした非常に複雑な家庭環境から、新倉さんの中でも大きな葛藤はあったが、社会人になってから10年以上たった頃、遂に、両親と縁を切ることを決心した。

 実は、この両親の存在が新倉さんのトラウマになっていた。特に父親の度を越えたしつけは子どもだった新倉さんに強い恐怖心を植え付けた。父親のイメージは「怖い」というもので、大人になってからも夢に見て飛び起きることがあった。両親のことは「恥ずかしい」という思いが強く、他人に話せなかった。

 縁を切った今、ようやく自分の過去を正直に話すことができるようになったし、夢に見ることもなくなった。自分をようやく取り戻したのである。

常識を取り払うと最適な戦略が見えてくる

 新倉さんは独立するに当たり、理想とする会社の姿があった。育った環境から“家庭”を知らない新倉さんは、自分の家族をつくりたいと思っていた。だから、自身がつくる会社は「雇う側」と「雇われる側」という関係性ではなく、共に働き会社をつくり上げていく“仲間”をつくりたかった。

 新倉さん自身も社員をただ使うのではなく、社員をリスペクトできるような関係だ。信頼し合い、効率的に働ける会社にしたかった。

 独立してまずしたことは、創業メンバーの採用だった。この方法が実にユニークだった。フェイスブック上で、募集の告知をした。自分を桃太郎にたとえ、犬とキジとサルになりませんか、その代わりに自分のノウハウを全部教えます、一緒に面白いことをやりましょう、と呼び掛けたのである。

 さらに、営業採用のみ、ひとつの条件を設けたのだが、それは、半年間で合計180万円のコンサル料を支払ってください、というものだった。

 30万円は新倉さんからの指導料という名目であるが、なんとも破天荒だ。それでも応募があって、3人を採用した。彼らは約束どおりに、会社に月々30万円の指導料を納めたから、事務所の固定経費は、これで賄うことができた。それにしてもすごい話だが、新倉さんには明確な狙いがあった。

 半年間、30万円を支払うということは、少なくとも200万円の貯金がなくてはならない。それくらいの蓄えのある人間でなくては、付き合っていけない。また、それだけの貯金をする人間は、コツコツ方の努力型人間だろう。さらに、それをきちんと会社に支払うだけの腹がある人間ならば、相当の困難な仕事でも一緒にやり抜けるに違いない。

 そういう、新倉さんならではのもくろみがあったのだ。

 確かに、常識とは真逆の発想だ。しかし、そういう新倉さんだからこそ、前回レポートしたように、勤務時間が13~18時の5時間勤務という発想が生まれるのであるし、その短い、余裕の勤務体制で、社員1人当たり平均年商が4億円超という数字をたたき出すことができるのである。

[今号の流儀]トラウマと常識を取り払うことで、幅広い選択肢が見えてくる。

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