創業以来レジャーホテルに革新をもたらし続けたBest Delight Groupが目指す頂は、単なる業界のリーディングカンパニーではなかった。社会からも、国からも、全く新しい業種として認知される企業を目指す同社の挑戦が2019年以降一気に加速しそうだ。

桝村健右氏

Best Delight Group 代表取締役 桝村健右(ますむら・けんすけ)

ライバルはカラオケやアミューズメント施設

 どんな業界であっても、業界トップに君臨するのは並大抵のことではない。まさにビジネスマン最大の本懐とも言える難事に挑もうとしているのがBest Delight Groupの桝村健右代表だ。同氏は、2008年に創業した同社を、現在では全30店舗を抱えるレジャーホテルの一大グループに成長させた。

 「当社は、18年度に売り上げ40億円を達成しました。一昨年策定した中期経営計画では10年後の売り上げ100億円を目標として掲げましたが、5年前倒しが可能と考えています」

 業界を見回すと、1千億円どころか100億円企業すら存在しない中で、目標を達成すれば一躍業界ナンバーワンに躍り出る。

 業界のガリバーたらんとする同社の方法論は明快である。それは「レジャーホテル革命」だ。レジャーホテルの顧客はカップルという既成概念を根底から覆す。

 「ホテルの最大の特徴は閉鎖された空間であること。誰にも迷惑をかけず、思う存分遊ぶことができる。特にレジャーホテルは構造上防音設備が堅牢なので、隣室などへの騒音を気にする必要がありません」

 桝村代表が思い描くのは、『感動』する時間を過ごすことができる空間。念頭にある競合相手はホテルなどの宿泊施設ではなく、カラオケルームやアミューズメントパークなどの全てのレジャー施設だ。

 「カラオケに歌いにいくか、当社のホテルで歌ったりゲームをしたりするか。お客さまにとってそういう選択肢となる存在を目指しています」

 昨年神戸にオープンした「ホテルエルディアモダン神戸」には、ウォータースライダーやボルダリングが用意された部屋まである。もはやその設備はホテルの枠に収まり切らない。

 それに加えて同社のホテルは、一流レストランに負けないダイニング、一般のホテル同様の接客サービスも整え「楽しい時」を過ごすため選ばれる「場」であることを徹底的に追求している。

ビジットジャパンと東京オリンピックも追い風

 さらに近年のビジットジャパンが追い風になっている。外国人はレジャーホテルに対する先入観がない。「エクスペディア」や「ブッキングドットコム」などの予約サイトを通して、外国人の予約も殺到している。

 「予約という概念がなかったレジャーホテルに、予約サイトの活用を持ち込んだのが当社です。価格にシビアな外国人のお客さまは、当社ホテルの豪華な設備と、それに比例しないリーズナブルな料金設定に対する満足度が極めて高い。それがネットでの高い口コミ評価につながり、さらに新しいお客さまの予約につながる好循環となっています」

 東京オリンピックまであとわずか1年という段階になっても、首都圏のベッド数は不足している。民泊だけでなくレジャーホテルの有効活用も言われ始めているが、同社も首都圏への進出を加速していくつもりだ。

 「昨年から首都圏への進出を本格化させましたが、関東のレジャーホテルも旧態依然であることが分かりました。どこも経営に苦しんでいるのに、変わろうとしない。シュリンクする一方の日本ではどの業界も苦しいですが、特にこの業界の先行きは明るくないといわれています。それはレジャーホテルをこれまでと同じ視点でしか捉えていないから。当社のように、視点を変えれば全く異なる未来が見えてきます」

 同社は駅前立地のビジネスホテルを買収して、次から次へと新形態のレジャーホテルを展開する構想を練っているが、仕入れられる物件が少ないことが最大のボトルネックとなっている。しかし、最近は同社の優れたオペレーションに目を付け、物件の譲渡ではなくオペレーションを委託したいというオファーが入り始めている。売却は難しくても、同社のノウハウを注入し既存ホテルを再生したいというニーズが出てきている。

 「当社のホテルは、構造、設備の規模などあらゆる面で、既存のレジャーホテルの枠を超えた存在になることを目指しています」

 それはハードだけに留まらない。誰でも気軽に入ることができる明るいエントランス。一般のホテル同様に相対でサービスを提供するフロント。CRMを導入し顧客データを収集することで、よりレベルの高いサービス展開も図っている。

 「これまでのレジャーホテルとは異なる新しいタイプのホテルだと広く認知してもらいたい。そのためにも、当社が先頭になって業界をリードしていきます」      

ラグジュアリー岐阜

大型画面でゴルフシミュレーターが楽しめる「ラグジュアリー岐阜」

 

会社概要

設立 2008年4月

資本金 1,000万円

売上高 40億円

所在地 大阪市都島区

従業員数 約500人(グループ全体、パート・アルバイト含む)

事業内容 ホテル経営・運営およびコンサルティング業、不動産売買・仲介およびコンサルティング業

http://best-delight.com/

 

【注目企業】の記事一覧はこちら

経済界電子版トップへ戻る

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年5月号
[特集] 巻き込む力
  • ・高岡浩三(ネスレ日本社長兼CEO)
  • ・唐池恒二(九州旅客鉄道会長)
  • ・河野 仁(防衛大学校教授)
  • ・入山章栄(早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)
  • ・出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)
  • ・中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会理事)
  • ・時代も国境も超えた普遍のリーダーシップを学べるベストブックス
[Special Interview]

 小林喜光(三菱ケミカルホールディングス会長)

 イノベーションを起こすために「人間とは何か」を問う

[NEWS REPORT]

◆零細企業でも活用できるインターネットM&A最前線

◆業界再編はあるのか 日本製鉄、巻き返しへの一手

◆技術研究所を解体してホンダは何を目指すのか

◆新型コロナウイルス治療薬 なぜ日本企業は創れないのか

[特集2]

 経営者に贈る「イロとカネの危機管理」

ページ上部へ戻る