経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

新規人材紹介サービス「ワンキャリア」の大手にはない強みとは

「ONE CAREER(ワンキャリア)」という会社をご存知だろうか。「ワンランク上のキャリアを目指す学生のための就職活動サイト」というフレーズで就活生向けに就職活動の情報を提供しているスタートアップ企業である。

2015年ごろは、ただ選考を通過したエントリーシートを見ることができる就活サイトであったのが、この2年間で月間ユーザー数100万人を突破する「上位校の学生に最も使われるアプリ」の1つとなった。その成功から今後の新規人材紹介サービスの未来について考察する。

リクナビ・マイナビの二強体制だった人材紹介サービス

これまで就職活動支援サービスといえばリクルートが運営する「リクナビ」、株式会社マイナビが運営する「マイナビ」の2つが主流であった。

この2つのサイトでは性格診断を受けることができる他、リクナビ、マイナビが企業に提供しているため、学生がサイトを通して企業にエントリーすることができる。掲載企業数もリクナビが約3万社でマイナビが約2万2千社、登録学生数はリクナビが約75万人でマイナビが約80万人、となっており、国内最大級の就活サイトである。

2強よりワンキャリアが選ばれる理由

この不動の2強がいる就活業界の中でワンキャリアがいまユーザー数を伸ばし、上位校の学生の中で最も使われるサービスになった理由は

  • 完全なユーザーファーストの付加価値
  • 対象を絞ったことによるマッチングの成立率

にあると考えられる。

ユーザーファーストの付加価値 

大学1年生の終わり、筆者の先輩が就職活動に関しておすすめしてくれたサイトの中にワンキャリアがあった。2015-16年ごろのワンキャリアは、先輩たちが自分のエントリーシートを投稿している「選考に通過したエントリーシートを見ることのできるサイト」に過ぎなかった。

しかし、その後ワンキャリア編集部がまとめた各業界の傾向と対策や、各企業の選考フローなど、サービスを利用する就活生にとって必要なコンテンツが充足されたことにより、就活生がより活用しやすいサイトに成長していった。

これまでのリクナビやマイナビなどのサイトは、性格診断や模擬WEBテストなどが受験できる代わりに、リクナビやマイナビがお金をもらっている企業の宣伝広告が就活生に届く仕組みであり、就活生が選考を受けるにあたって使えるというよりは、企業向けのサービスである印象が強かった。

その他にも、イベントを企画・仲介するレクミーやtype就活などがあるが、こちらも同様の理由で学生のためというよりは企業向けであった。食べログがユーザーからの口コミでコンテンツを充実させ成功したように、ユーザーファーストでサービスを作ったことが、ワンキャリアが成功した秘訣の1つといえるだろう。

対象を絞ったことによるマッチングの成立率

これは筆者自身が慶応大生として就活をしていたからこそ感じていたことであるが、就活サービスの全般は50万人とも言われる学生一般に合わせすぎている。たとえば東早慶の学生であれば、コンサルや特定の理科系の領域で就職する学生を除いて、名前も聞いたこともないような企業にはエントリーもしないのが大半なのに対して、「リクナビ」や「マイナビ」、「キャリアパーク」などが勧めてくる企業は、そうした企業ばかりであった。

たしかにリクナビやマイナビは掲載企業数が国内最大級ではあるが、それは彼らの顧客が全国各地の中小企業にまで及んでいるからであって、関東圏のトップ層の学生にはマッチしない。ワンキャリアは「ワンランク上のキャリアを目指す学生のための就職活動サイト」と自分たちをポジショニングしたことによって、ユーザーと企業側のターゲットを絞った。そうして需要と供給が合致したからこそ、マッチング率が上がって使われるサービスとなったと考えられる。

人材紹介の成功のカギはミスマッチの解消にあり

ワンキャリアの成功は、まずユーザーファーストのコンテンツづくりによってワンキャリアを利用する学生が増えたこと、また、お互いのターゲティングをしっかり行い、ポジショニングしたことで、学生と企業の間にマッチングが生まれたことにあると考えられる。

人材会社のサービスは、本来ユーザーと利用する企業の2方向の顧客がいるにもかかわらず、出資をするのが企業側であるためサービスが企業側に偏りすぎているという現状がある。大手人材会社が市場のシェアを占めていたとしても、このミスマッチが存在する限り、この部分に参画する余地があると考えられる。そしてまた、このミスマッチを解消した企業こそが成功するのだと考えた。

ライター紹介

内堀夏希。慶應義塾大学法学部4年。高校時代の友人であったhackjpn社長の戸村光に「お茶しよ〜」と言われ数年ぶりに会ったところいつの間にか同社のライターとなり現在に至る。