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挑戦する女性と革新が導く不動産会社の未来像 神山重子 日本土地建物

日本土地建物 代表取締役 かみやま しげこ 神山重子

東京・銀座への本社移転によりブランド力や信頼感が向上し、成長を加速させている日本土地建物。女性の活躍推進や地方からの優秀な人材確保への取り組みを強化し、民泊事業の拡大など多角的な展開で不動産業界でのさらなる飛躍を目指す。(雑誌『経済界』2025年5月号「注目企業」特集より)

日本土地建物 代表取締役 かみやま しげこ 神山重子
日本土地建物 代表取締役 かみやま しげこ 神山重子

「GINZA SIX」への本社移転と事業拡大

日本土地建物は、創業から20年余にわたり黒字経営を維持し、不動産業界で確固たる地位を築いてきた。同社の成長は、多様な人材の活躍と柔軟な事業展開、そして先進技術の活用によって支えられている。

2024年3月には、さらなる成長を見据え銀座のランドマークである「GINZA SIX」へ本社を移転。この移転を契機に事業展開が加速し、採用活動にも大きな変化をもたらしているという。洗練された環境に本社を構えることで、顧客や取引先との接点が増え、物件の仕入れや商談の機会が拡大。

同社代表の神山氏は、「GINZA SIXへの移転は、企業としての信頼感やブランド力の向上にもつながり、新たなビジネスチャンスを次々と創出しています」と語る。

事業展開の一環として、インバウンド需要の高まりに応じて西新宿での大規模マンションでの民泊事業を開始した。観光客向けの宿泊施設運営を通じて物件の収益性を高め、新たな収入源を確保する狙いがある。

「物件の収益性向上と事業の多角化という二重の目的を果たす重要な取り組みであり、観光需要の回復に伴い、今後さらなる成長を見込んでいます」

一方、採用面においても銀座という魅力的な勤務地が、地方からの優秀な人材の確保を後押ししている。同社は大阪、仙台、福岡などの主要都市で会社説明会を実施し、オンライン面接を併用することで遠方からでも気軽に応募しやすい体制を整えている。

「地方出身者が新たな視点をもたらし、企業文化の多様性を育むことが、企業の成長に大きく寄与すると思います」

女性を中心とした多様な人材が活躍する職場

同社は性別やバックグラウンドにかかわらず、全ての社員が活躍できる環境づくりに注力している。現在、社員の約4割が女性であり、営業職、プロパティマネジメント職、社長室スタッフなど多岐にわたる分野で女性が重要な役割を担っている。

「性別にとらわれず、能力を最大限に引き出せる環境が企業の持続的成長を支えます」

同社が提供する働きやすい環境の特徴として、土日休みやフレキシブルな勤務制度がある。育児や介護といったライフステージに応じた働き方が可能であり、成果に応じた報酬制度によって、頑張った分だけ正当に評価される仕組みが整備されている。また、リモートワークの選択肢も用意されており、家庭とキャリアを両立しながら働けることが女性社員に支持されている。

さらには実務を通じたスキル習得と外部講師による研修を組み合わせた育成体制も強みとなっている。特に営業職においては、物件の仕入れから販売までの一連の業務を一人で担当する体制を採用しており、早期から現場での経験を積むことが可能だ。これらの取り組みにより、女性のみならず全社員が実力を身に付け、着実にキャリアを構築している。

他にも、社員同士のコミュニケーションを活性化させるために社内イベントや社員旅行が定期的に開催され、相互理解を深めながら働きやすい環境を維持している。

現場主義と先進技術の融合による差別化

社員の能力を最大限に引き出すさまざまな取り組みを進めている
社員の能力を最大限に引き出すさまざまな取り組みを進めている

同社の成長を支える重要な要因の一つが、現場での徹底した実務と先進技術の融合だ。現地の仲介業者と信頼関係を築き、地域に密着した情報収集を行う一方で、契約書の電子化やAIを活用した業務効率化を推進している。このバランスが、優れた物件の仕入れや高い顧客満足度につながっている。

「地域に根差した実務力と最新技術の活用によって、物件選定から契約までのプロセスを最適化し、顧客に価値あるサービスを提供しています」

AIによるナレッジシステムの導入により、過去の事例や知識が迅速に共有され、営業チーム全体のパフォーマンスが向上。また、AIを活用した物件データの分析や市場動向の予測により、精度の高い物件選定が可能となっている。これにより、顧客ニーズに最適化された物件提案が実現し、競合他社との差別化を図れている。

同社の営業担当者は、テクノロジーに支えられた効率的な情報管理と、現場での実践的な対応を駆使し、顧客との信頼関係を築き上げている。その結果、顧客満足度の向上と長期的な関係構築に成功しているのだ。

現在は不動産再生を軸に民泊事業の拡大や新規事業への挑戦、柔軟な事業展開と先進技術の活用を通じて、同社は社会経済の発展に寄与し続けている。今後も多様な人材と新たな事業挑戦を原動力に持続的な成長を目指していく。特に不動産業界でプロフェッショナルを目指す女性にとって、同社は格好の活躍の場となるだろう。 

会社概要
設立 2003年8月
資本金 1億円
売上高 44億円(2024年4月期)
本社 東京都中央区
従業員数 33人
事業内容 ・不動産の売買・賃貸・仲介・管理等
https://www.j-tochi.co.jp/