取材・文=datavase.io
エジソンやアインシュタイン。世界の常識を覆し、われわれの今日のあたりまえを築いた、彼らを天才や偉人と呼ぶ者は少なくない。
しかし、そんな彼らは発達障害者であったといわれ、ある分野で突出した才能を発揮されるも、注意散漫で本が読めなかったり、ヒトと会話できなかったりしたようだ。
ミンナのミカタグループでは、そんな障害者の才能を早期発掘し、彼らの強みを活かせる職場へと縁を結ぶ事業に従事している。
同サービスは全国4千人以上の障がい者が利用しており、「人材不足」に悩む企業が多い中、新たなる戦力として障がい者雇用が注目されている。そこで今回は代表の兼子文晴氏に最先端の障害者雇用について話しを伺った。
兼子文晴氏プロフィール
障害者のイメージを革新するミンナのミカタ
――ミンナのミカタさんでは主にIT系業務を取り扱っていますが、障害者の方が強みとするワークパフォーマンスは何でしょうか?
兼子 まず障害の区別によって仕事が分かれます。精神障害の方は高速ライティングやコーディングが得意な方が多いので、WordPressでのHP作成やAIのデータベース入力、動画編集などの業務を行っています。
一方、知的障害の方は集中力に秀でているので、単純作業で量がある業務を担当することが多いです。そして身体障害を持っている方は基本的に頭の回転などは健常者と変わらないので、マネジメントなどを担当します。
一般的に障害者のイメージは作業所でパンなどを作っているイメージだと思うのですが、実際は普段の生活でパソコンやスマホを当たり前に使っている方も多く、IT系の業務で健常者以上のワークパフォーマンスを発揮される方もいらっしゃいます。
人間力を育てる社内教育
―― 障害者の方のワークパフォーマンスを最大に引き出す上で意識されていることはありますか?
兼子 健常者と障害者を区別せず人として育てている所です。社会の基本である挨拶、感謝、質問ができる、そういった人間力を持ち、成長させることを一番大事にしています。
―― 仕事を発注する企業にとっての大きなメリットは何でしょうか?
兼子 一つ目に、弊社は実際に就労支援事務所を運営しているため、仮説検証が出来る点です。
企業さんは障害者雇用率を達成しなければいけない義務感があるため、急いでハローワークなどに求人を出して人材を雇用してしまいます。そうすると、特に精神障害の方は躁状態で面接に来られるので、働いていくとやはり鬱に戻り、そこで離職してしまうケースがほとんどです。
だからこそ、われわれのような障害者就労事業所に仕事を発注し、実際に仕事を障害者の方にやってもらい、仕事に慣れてきた段階で採用して頂くことで離職を防ぐことができます。
二つ目のメリットは、SDGsにも繋がるため企業のイメージアップになる点です。ミンナのミカタぐるーぷでは、2015年9月25日に採択された持続可能な開発目標、通称「SDGs」を常に考え、ミンナのミカタぐるーぷとしての目標を掲げています。
SDGsは人が大きく関わります。そういった中で障害の子たちが関わる機会が沢山あり、SDGsが広まることによって、ミンナのミカタの価値が高まるのではないかと思っています。
実際に弊社はブックオフさんと業務提携を組んでおり、ブックオフさんはリユースという分野でSDGsに力を入れています。実は障害者雇用も自社で雇用率4%以上を達成していますが、さらにミンナのシゴトと業務提携することで、障害を持つ方の雇用を増やしていく予定です。
今後はリユースと障害雇用という部分で、SDGsの目標達成にもっていきたいと考えております。
障害者雇用率達成に向けての取り組み
―― 今後企業は障害者雇用に対してどのように向き合っていくべきだとお考えですか?
兼子 これは事業者側にも問題があると思っています。事業所側自体も福祉上がりで、障害を持った方々の可能性やワークパフォーマンスを外に発信していないため、メディアから受け取るイメージしか企業さんは持てない現状となっています。
だからこそ、我々は攻める就労事業所なんです。実際に企業さんを訪問したり、セミナーを開いたり、メディア露出を増やして障害を持っている方の可能性を知って頂く活動を行っています。
今後、われわれのような事業所が増えていけば、結果的に障害者雇用達成に繋がるのではないかと思います。
障害がハンデだとは限らない。逆にハンデを抱えているからこそ、「健常者以上のパフォーマンスを出すことも出来る」。今後は深刻な人材不足の解消、そしてSDGs 達成へ向けて、企業×障害者雇用が創出する 『社会の価値』が問われているのではないだろうか。