(雑誌『経済界』2025年2月号より「第49回経済界大賞」ダイバーシティ賞受賞)
ダイバーシティ賞 ジュネジャ レカ ラジュ 亀田製菓会長CEO
米どころ新潟。この地に戦後間もない1946年に誕生した亀田製菓は、米菓メーカーとして日本最大のシェアを誇る。
同社は「亀田の柿の種」「ハッピーターン」「ぽたぽた焼」「ソフトサラダ」等々、誰もが一度は食べたことのある米菓を世の中に送り出してきた。
米どころに本社を置く日本最大の米菓メーカー。言わば純ジャパ中の純ジャパともいえる会社に、インド出身の会長が誕生したのは2022年のことだった。近年は外国人経営トップも一般的になりつつあるが、地方企業、しかも伝統的産業では珍しい。
そのインド出身、ジュネジャ レカ ラジュ氏が副社長として入社したのは20年。ロート製薬で副社長を務めていたジュネジャ氏は、当時亀田の会長だった田中通泰氏(現特別顧問)と知遇を得て、亀田への入社を決めた。
入社してジュネジャ氏は驚いた。
「亀田製菓グループは米菓の会社と思っていたら、可能性を秘めた『種』をたくさん持っていた」からだ。
例えばコメの研究の中から出てきた「植物性乳酸菌」や「米粉パン」「長期保存食」などだ。ジュネジャ氏は、こうした新規分野の事業拡大に取り組んだ。
ジュネジャ氏が目指すのは「Rice Innovation Company」の実現だ。コメの可能性を最大限に引き出し、世界で新価値・新市場を創造していこうと考えている。
「そのためにも、『KAMEDA』というブランドを世界で知られるようにしたい」
現在、亀田製品は日本を含む世界7カ国で生産され、40カ国以上で販売されている。いずれの国でも商品は親しまれているが、その一方で「KAMEDA」の知名度は高くない。そこで、パッケージに「KAMEDA」と明記するなど、さまざまな取り組みを行っているほか、世界各地の社員と日本人社員の交流に力を注ぐ。
「いずれ海外事業比率」を5割にまで高めたいとジュネジャ会長は意気込む。新潟生まれの真のグローバル企業がインド出身CEOによって生まれようとしている。