東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は日本にとって大きな飛躍が期待される年になるだろう。世界経済が大きなパラダイムシフトに直面している現在、日本経済に新風を呼び込むのは独自の技術やマーケティング力を生かして新しい付加価値を提供する中堅企業だ。本特集では各分野で急成長し、注目を集めている企業にスポットを当てた。(AD)

 

2020年も注目の日本のイノベーター3社

 

過去最大の赤字にもめげないところが孫正義の真骨頂 ソフトバンクグループ会長兼社長 孫 正義

孫正義

孫正義・ソフトバンクグループ会長兼社長

 

 「ボロボロでございます。まっかっかの大赤字」「投資判断がまずかったことを反省している」

 2019年11月、第2四半期決算発表に臨んだソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長はこう反省の弁を述べた。その半年前の前3月期決算発表で「3期連続で営業利益が1兆円を超えた」と胸を張っていたのとは正反対の殊勝な態度だった。

 赤字の主たる要因は、傘下のベンチャー・ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)が投資した米シェアオフィス大手「WeWork」の企業価値が大幅に下落したためだ。SVFはWeWorkに対し1兆1千億円を投じており、企業価値の下落がSBGに過去最悪の赤字をもたらした。

 普通の経営者なら、この赤字を受け、しばらくは積極的な投資は控えるだろう。しかしそうならないのが孫正義の孫正義たる所以(ゆえん)だ。「反省しているが、反省しすぎて萎縮しているわけではない」と今後の積極投資を明言した。

 孫氏がひるまないのは、「AIが産業構造を変える」との確信があるためだ。インターネット時代の初期から孫氏はその革新性に注目、関連企業へ投資した。AIにはそれ以上の可能性がある、と孫氏はみる。そのうえで、「これからも思い描いた信念とビジョンは微動だにせずしっかりと進めていく」という。

 孫氏の経営手法は、遠い将来を予測し、そこから逆算で戦略を立てるというものだ。将来の姿と、そこに至る道筋が孫氏には見えている。だからこそ経営姿勢がぶれない。それが孫氏の最大の強みだ。

 

仮想通貨は戦略的事業 独自通貨「GYEN」を年内にも発行する予定 GMOインターネット会長兼社長 熊谷正寿

熊谷正寿

熊谷正寿・GMOインターネット会長兼社長

 

 GMOインターネットグループは、インターネットインフラの世界で数多くのナンバーワン事業を手掛けている。国内ドメイン登録数では9割のシェアを誇り、レンタルサーバー事業でも過半のシェアを押さえている。またインフラ事業以外に、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業などでも強みを発揮する。

 そのGMOインターネットグループが戦略的事業分野と位置付けているのが仮想通貨事業だ。GMOインターネットの熊谷正寿会長兼社長は、「インターネットは情報をフラットにし世界を変えた。仮想通貨はお金をフラットにし世界を変えるだろう」と語るなど、かつてインターネットの黎明期(れいめいき)に味わったワクワク感を仮想通貨に感じている。

 2017年5月に仮想通貨取引サービスを開始し、同12月にはマイニング(採掘)事業にも参入。仮想通貨の価格低下などにより18年に355億円を特損計上するピンチもあったが、今期は黒字を回復した。

 そして今年、「GMO Japanese YEN」(GYEN)を発行する。GYENはステーブルコインと言われるもので、円と連動するためビットコインなどの仮想通貨のように価格が激しく上下動することはない。

 GMOインターネットグループでは、GYENを通じて仮想通貨のボーダーレスな取引を目指すが、これにより「交換」「マイニング」「決済」という仮想通貨に関するすべての事業領域に参入することになる。インターネットに続き、仮想通貨でもGMOインターネットグループは先頭をひた走る。

 

視聴者数は順調に増加 収益をいかに上げるか 「アベマTV」の挑戦 サイバーエージェント社長 藤田 晋

藤田 晋

藤田 晋・サイバーエージェント社長

 

 「開始から3年半で4500万ダウンロードを突破した。数字は今後も伸び続けるだろう」

 2019年10月末のサイバーエージェントの決算発表で、藤田社長は同社が提供する無料インターネットテレビ「アベマTV」についてこう説明した。

 既存のテレビと比べてアベマTVの最大の特徴は、編成の自由度だろう。例えば、今年1月8日にベイルートでカルロス・ゴーン・日産自動車前会長の会見を、アベマTVは完全生中継した。同時間にテレビ東京も中継していたが、途中で解説などが入る「ぶつ切り中継」だった。ゴーン会見だけでなく、昨年の山里亮太・蒼井優の結婚会見、吉本興業所属の宮迫博之・田村亮の会見もアベマTVは完全中継した。

 この機動力と、恋愛リアリティーショーなどのオリジナルコンテンツで、アベマTVは視聴者数を伸ばしている。Netflixなど定額制動画配信も人気だが、「アベマTVも約8千のオリジナルコンテンツを揃えているため十分戦える」(藤田社長)。

 とはいえアベマTVは赤字続きで、前期の損失額は200億円を超えた。藤田社長は「今期からそろりそろりと減らしていく」と言うが、それでも170~180億円の赤字となる見通しだ。

 「既存のテレビのように視聴率が上がれば広告収入が増えるような仕組みはまだつくれていない」と藤田社長。インターネット広告では収益力の高いビジネスモデルをつくりあげることに成功したが、ネットテレビでも新たなビジネスモデルをつくることができるのか。藤田社長の挑戦は続く。

 

2020年の注目企業一覧

-技術力-

日本電子

ネットシスジャパン

乃が美ホールディングス

サイエンス

Abalance

ゼロフィールド

ネクストワン

パワーエッジ

アイ・ディ・エイチ

システムコミュニケーションズ

-顧客満足-

シニアライフクリエイト

ミマコーポレーション

合格の天使

東京ヒルズクリニック

チャーム・ケア・コーポレーション

カーレントサービス

Best Delight Group

ジンジブ

日本土地建物

GoldKey Co.,Ltd

ヘヤゴト

-発想力・展開力-

ワイズ

ドリームズ

のぞみグループ

ガネット

Macbee Planet

ジブンハウス

フィールドマネージメント・ヒューマンリソース

SASSOU

ナクシス

ユウソリューションズ

アイカワオフィス

ゴーウェル

Dream Cloud Group

セイクン

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