庶民の注目を集めていたビール系飲料の酒税の一本化は2017年度の導入は見送った上で、4年後の20年10月から3段階で実施されることが決まった。一本化されるのは10年後の26年10月で、メーカーや消費者の反発に配慮した形。ただ、移行に10年もかける異例の措置で、予定通り実施できるか不透明な部分も残る。
17年度の税制改正は衆院解散や来年の都議選を睨み、配偶者控除の廃止などが先送りされた。その中で主税局が慎重に根回しを続けていたのが酒税の一本化。自民党税制調査会の野田毅最高顧問も意欲を見せていた。
ビールは減税になるが、発泡酒や第3のビールは増税になるため、「庶民の食卓を狙い撃ちしている」「弱い者いじめ」と批判されやすい。業界にもビール以外のシェアが大きいサントリーなどの抵抗が強かった。
そこで、早い段階で主税局は17年度の導入を見送る一方、2~3年後から複数年かけて段階的に実施する案を模索。長期の移行期間を設け、反対派のサントリーなども最終的に妥協した。
決定した案では、20年10月にビールの税額(350ミリリットル当たり)を7円減税して70円、第3のビールは9.8円増税して37.8円に変更。23年10月にビールを63.35円、第3のビールは発泡酒と同じ46.99円にし、26年10月に54.25円にする。
急に値上げすることもないため、消費者から批判の声はそれほどなく、主税局は胸をなで下ろしている。ただ、公明党に慎重論があり、一本化に際しては、消費などへの影響を検証して実施する旨の規定が盛り込まれることになった。
サッポロの尾賀真城社長が「大幅減税にならない」と注文をつけるなど業界も歓迎ムード一辺倒というわけではない。延期されている消費増税の二の舞にならないか、不安視する声も少なくない。
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