吉川浩太郎氏プロフィール
ビジネスシューズでカジュアル度の高いものは?
ビジネス用の靴を買う時、特にブランドにこだわりのない方は、選択に迷うことがあるかもしれません。
靴のデザインで、カジュアル度の低いものから大まかに言えば、ストーレートチップ、プレーントウ、モンクストラップ、ウィングチップ、ローファーといった順になります。冠婚葬祭からビジネスまで使える黒のストレートチップは、1足持っておくと安心です。ローファーはジャケパンに合わせるならOKですが、スーツにはNGとも言われています。
履いた時のポイントとしては、まずはボールジョイントと呼ばれる親指と小指の付け根部分の感触が、きつすぎても緩すぎても良くありません。あとは、かかとの部分がピッタリと包み込まれているか否かでも、ホールド感が相当変わってきます。特に日本人はかかとが小さいと言われているので、そこもしっかりチェックしましょう。
足の甲の高さも重要です。甲が高い人は靴が窮屈で痛みを感じることが多々ありますし、逆に甲が低い人は靴ひもが寄って重なり過ぎてしまうといったことがありますので、よく見極めていきましょう。
セミフォーマル、カジュアルに対応できるスウェード靴
ビジネスカジュアル初心者でも安心できるスウェード靴
セミフォーマルやカジュアルの両方で履ける靴が欲しいなら、スウェード靴を持っておくと便利でしょう。スウェード靴であれば革靴ほど光沢もなく、スニーカーほどカジュアルでもないので、初心者の方でも比較的合わせやすいかもしれません。上級者の中には、黒のスウェード靴をスーツに合わせる方もいます。
普通の革靴は、皮の表側をそのまま靴の表側として使用していますが、スウェード靴は皮の裏側を毛羽立てて、靴の表側として使用しています。表側を毛羽立てたヌバックというものもありますが、スウェードのほうがよく履かれているようです。
スウェード靴の手入れの仕方
お手入れもそれほど難しくありません。まず、毛の流れに逆らって一回ブラッシングをして、次に毛の流れにそって整えるようにブラッシングします。
つま先など、摩擦で毛足が固くなった箇所には、豚毛に錫(すず)などの金属のブラシが組み込まれている「スウェードブラシ」を使ってほぐすことで、少し戻すことが出来ます。
あまり強くこすると毛が取れてしまうので、優しくブラッシングするように注意しましょう。スウェード靴をブラッシングした後、靴の色に合わせたスウェードスプレー(撥水と着色効果があります)を全体に吹き付け、乾燥させます。最後に、もう一度ブラッシングをして終了です。
起毛素材なので、どの程度奥の革が保たれているか確認することが難しいのですが、スウェードの命である起毛については、潤いと艶を保ちやすくなります。
革靴よりフォーマル度が落ちることをきちんと認識していれば、ジャケパンやスーツに合わせることもできるスウェード靴は持っていて損はないと思います。お手入れをしっかり行って、さまざまなシーンで活用してください。
スーツにスニーカーはOKなのか
合わせ方を間違えると諸刃の剣に
昨年、文部科学省の外局であるスポーツ庁が、スニーカー通勤を推奨するというニュースがありました。ひょっとしたら、スーツにスニーカーを合わせる時代が、これから来るのかもしれません。
ひと言で言うならとても難しいコーディネートです。もともと健康増進のために打ち出されたプロジェクトなので仕方ない部分はありますが、ファッションに関する難易度という点まではあまり意識されていないようです。
スーツにスニーカーは、合わせ方を間違えると全くお洒落に見えないだけでなく、非常にカッコ悪くなってしまう、諸刃の剣です。
なぜなら今までは、スーツは勿論スニーカーに関する知識も持つ一部の上級者が、バランスを考えて着こなしてきたスタイルだからです。
これを急に広めようとすると知識の有無による格差が出やすくなります。そのため、格好良い人は格好良くなり、予備知識のない人は微妙になることで見た目格差が広がることが予想されます。どうしてあの人は良いのに、私は違うのだろう?と迷いに迷う人が出てくるでしょう。
そのため、本日は少しでもそれを防止できる様、予備知識をつけて頂けたらと思います。スーツに合わせるスニーカーの色として、まず手堅いのは白、黒、茶色になります。
スーツに合うスニーカーの定番はない
また、機能性を重視したハイテクスニーカーではなく、デザインもシンプルなものがベターでしょう。ただ、スーツの足元がダボついていたりすると、どんなスニーカーでも似合わなくなる可能性があるので要注意です。
革靴の雰囲気に近づけるなら、レザー系のスニーカーを選ぶという手もあります。パット見は革靴でも、靴底がウォーキング機能に優れた素材のものを履く人も増えるかもしれません。
正直なところ、スーツのシルエットとスニーカーのバランスが重要となるため、はっきりとこのスニーカーなら大丈夫と言うブランドや色があるわけではありません。例えスニーカーが一緒でも体型によってスーツの大きさやシルエットも変わります。
他の誰かに似合う組み合わせが、必ずしも自分にも合うとは限らないのです。
ビジネスカジュアルの常識が崩れる可能性も?
クールビズと同じく、政府が推奨するプロジェクトなので、これから世の中に浸透していく可能性は大いにあります。そうなると、われわれコンサルタントとしても、これまでの常識とは違う提案をする必要が出てくるかもしれません。
たとえば、基本的にスーツに白い靴下を履くのはNGですが、スニーカーを合わせてその人に似合うならばOKというケースがあり得るでしょう。いずれにせよ、とても組み合わせのバリエーションが多岐に渉るため現段階で「これはOK、あれはダメ」という断言はしにくい状況です。
スーツにスニーカーが主流になれば、逆に革靴を履くのが珍しくなるような時代が来るのでしょうか。いずれにせよ、ファッションコンサルタントとして一層研究していかなければならない課題だと考えています。
外国人モデルがスーツにスニーカーを合わせている姿を雑誌で見たとしても、その通りにやればOKというわけではありません。あくまで自分に似合うかどうかで決めないと、かなりおかしな格好になってしまうので注意が必要です。
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