経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

帰ってきた夏フェス全国300カ所で開催予定【特集 猛暑こそチャンス】

(雑誌『経済界』2022年9月号より)

 夏といえば「夏フェス」。過去2年間、コロナ禍で中止が相次いだが、今年は満を持して開催される。

 中でも復活を心待ちにしているのは、コロナ前まで国内最大の動員数を誇った「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル(以下ロッキン)」ファンの人たちだ。

 毎年、8月に茨城県の国営ひたち海浜公園で開かれていたロッキンは、2019年には5日間で33万人という、日本フェス史上、最大の観客を集めた。20年はコロナ1年目で中止に追い込まれたが、昨年は観客数を例年の半分以下にするなど感染対策を徹底したうえで開催する予定だった。ところが7月に入って茨城県医師会などが中止を要請、それに折れるかたちで中止が決まった。

 それもあって、今年は会場を千葉市の蘇我スポーツ公園に変更し、8月6、7、11、12、13の5日間にわたり開催される。ひたち海浜公園は都心から電車でも車でも2時間以上かかる。そのため茨城県内のホテルに泊まり、2、3日、フェスに通う人も多かった。今年はそれがなくなるのだから、茨城経済にとっては大打撃だ。

 00年の第一回ロッキンから毎年欠かさず通い続けてきたファンの一人は、「くたくたに疲れるけれど、ロッキンがあってこそ夏。今年は夏が帰ってくる」と開催を心待ちにしている。

 ロッキンと同じく00年から始まった「サマーソニック(サマソニ)」。その特徴は、同じ日に、東京、大阪の2会場で開催されること。今年は8月20、21日の2日間にわたり、東京会場は千葉市のZOZOマリンスタジアムと幕張メッセ、大阪会場は舞洲ソニックパークで開かれる。

 サマソニも20年は中止、昨年は代替フェスを予定していたが、大阪は中止、東京は千葉市の要請を拒み開催するなど、東西で対応が分かれた。今年はコロナ前と同じく、東西同時開催ができそうだ。

 歴史ではロッキン、サマソニよりも古いのが、新潟県苗場スキー場で開かれる「フジロックフェスティバル」。今年は7月29、30、31日の3日間にわたり開催される。

 フジロックの場合、20年は中止したが、昨年は開催した。新潟大学医学部などから懸念する声も出たが、主催者側は、観客数を例年の3分の1の3万5千人に減らすなど、万全の体制を敷いた結果、1人の感染者も出さなかった。これは、主催者だけでなく、全国の音楽関係者、イベント関係者に勇気を与えた。

 そして今年のフジロックでは、昨年は禁止されていたアルコールが解禁される。苗場スキー場の開放的な雰囲気の中、音楽を聴きながらビールを味わうという至福の時間を過ごすことができる。

 以上、日本の3大フェスについて見てきたが、これ以外にも今年は大小合わせると、日本全国で300以上のフェスが予定されている。

 フェスの参加は、入場チケットだけでなく、交通費や飲食費、宿泊費など、さまざまな形でお金を落とす。エンターテインメント関係者にとっても開催する地域にとっても、開催する意味は大きい。