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最少のリソースで最高の結果を マーケティングの最適解に導く デ・スーザ リッキー Marketer’s Brain

デ・スーザ リッキー Marketer's Brain

創業から一貫して一人会社のMarketer′s Brainは、独自の「受注プロセス戦略®」により、設立5年でプライム上場企業など50社超を支援。リッキー代表は「最少のリソースで最高の結果を出すのが最適解」と自信を持つ。(雑誌『経済界』2024年12月号「総力特集 強い組織の流儀」より)

デ・スーザ リッキー Marketer's Brain
デ・スーザ リッキー Marketer’s Brain

「正しいが、絶対にできない」聴講者の一言をきっかけに起業

社員数人の編集プロダクションからキャリアをスタートさせたリッキー代表。アシスタントディレクターからウェブディレクター、マーケティング、トータルプロモーションなどさまざまな企業でキャリアアップを重ねながら、常に成果を残してきた叩き上げだ。

「ジュピターテレコム(現JCOM)にいた頃は部門長から呼び出されて『16億円の予算を付けるからウェブで成果を出せ』とか『2億円でモバイル通信事業の売上高を10倍にしろ。事業計画書を明日までに出せ』など無茶な要求もありました(笑)。しかし、どんなに高い目標を達成してもマーケティング企業ではなかったので私自身への評価はそれほど上がりませんでした」

その後、マーケティングを手掛けるロックオン(現イルグルム)に転職。試用期間中の半年で成果を上げ、マーケティング部長に就任するまでに昇進。マーケティング業界のトップカンファレンスを含め、年100回以上も登壇するまでになった。

「ある時、講演後の名刺交換で上場企業の方から、『あなたの話す内容は正しいし、私もそうしたいが絶対にまねできない』と言われたのです。初めは言い訳かと思いましたが、回を重ねると聴講者の多くから同じ意見が聞かれました。私はマーケティング畑一筋のプロですが、企業の多くではジョブローテーションが行われ、マーケティングの基礎を知らない人も多い。さらにマーケティングを理解している人でも、行動するには組織や文化、営業手法など社内調整しなければならない要素がいくつもある。それらの障害を取り除かなければ事は進められません」

クライアントのマーケティングリテラシーを高める重要性に気付いたものの、当時勤めていた会社に相談するとマーケティングツールを販売する立場から反対されてしまう。ただし副業としてならという特別な許可が下りて始めたのがMarketer′s Brainだ。コネも何もない状態からスタートし、副業ながら半年で年商400万円に達した。「これは行けるんじゃないか」と手ごたえを感じて独立に至る。

全業種で素人でも実践可能。教育伴走型「受注プロセス戦略」

リッキー代表が考案したマーケティングメソッドが「受注プロセス戦略®」だ。「これまでに『仕事を受注したことがない』という企業はないでしょう。問題は『なぜ受注できたか』を明確に説明できないことにあります。多くの会社は経験や引き出しという言葉で属人化してしまいますが、受注プロセス戦略はそれらを言語化・可視化して評価することで、その企業の『最高の商談』を何度でも再現します。人や企業がものを買うプロセスには必ず理由があり、ことBtoBにおいては理詰めで攻略すれば必ず売れます」と語る。

教育と伴走を軸にしたメソッドは、企業規模を問わずあらゆる企業に適用可能だ。特定のフレームに当てはめるのではなく、スクラッチから相手に合わせてカスタマイズしながら最適解を求めるため、柔軟な対応ができる。「マーケティングにおける最適解は『その人に似合う服』のようなもの。カッコいい服と似合う服が違うように、ファッション誌を読み込んでカッコいい服をいくら集めてもカッコよくはなれません。その人の体格や背の高さ、会社に例えれば規模や組織に合わせた最適解として似合う服を提供しています」。

業種を問わず、マーケティングの素人でも実践できるのも受注プロセス戦略の特徴だ。言語化・可視化された仕組みだけに誰でも利用できる。

「最少のリソースで最高の結果を出すことが最も重要です。最適解があれば、大量のリソースは不要です。広告やイベントなど、あれもこれもとマーケティングの幅を広げていくと際限がなく、品質の低下を招きます。今までとは異なる視座で物事を見るリフレーミングを身に付ければ間違いに気付ける。それまで正しいと思い込んでいたマーケティングはたった一つのメソッドで逆転可能なのですから」

その一例として、同社では「受注プロセス戦略」というワードのSEO対策をしていないことを挙げる。

「商標登録済みのため、検索結果では当社と関連情報が常に上位に表示されます。最良の戦略は『戦わずに勝つ』ことです。メソッドが一つしかないのも戦略です。成功するための100のメソッド、200のメソッドなどと、メソッド数でマウントを取られることもありません。最適解とリフレーミングによって新しいブルーオーシャンが見つかります」

リッキー代表のみの「一人会社」にもかかわらず、Marketer′s Brainと子会社は設立から5年平均で年商5千万円を超える。

10月には4冊目の自著として、『最高の人時生産性を実現し、戦略だけで収益を最大化させる逆論のBtoBマーケティング受注プロセス戦略』(エベレスト出版)を上梓。成功例に裏付けられたマーケティングアプローチの一端を明かしている。

「本書の目的はあくまでも読者の皆さんに気付きとして『What』を与えることなので、具体的な『How』には触れていません。成功パターンに至るHowは会社によって異なります。マーケティング手法は飽和していますが、世間の成功法則に騙されず、『似合う服』を見つけてほしいと思います」 

会社概要
設立●2019年3月 資本金●100万円
売上高●5,500万円 本社●東京都中央区
事業内容●マーケティングの「しくみ化」コンサルティング
https://marketersbrain.co.jp/