経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

契約業務のデジタル化ですべての合意をフェアにする 板谷隆平 MNTSQ

MNTSQ 板谷隆平

AIによる契約業務の自動化を進めるMNTSQ(モンテスキュー)。現役の弁護士でもある板谷隆平社長は「法務の変革を通して、すべての合意をフェアにしていきたい」と力を込める。(雑誌『経済界』2025年9月号より)

MNTSQ 板谷隆平
MNTSQ 板谷隆平社長
[生年月日]1989年9月19日 [出身地]愛知県 [最終学歴]東京大学法学部 [趣味]「週刊少年ジャンプ」を読むこと  [尊敬する人物]アリストテレス

── 契約の自動化による恩恵は何でしょうか。

板谷 日本の国内総生産(GDP)600兆円の日本経済すべての場面において「合意のカタチ」である「契約」は欠かせません。でも、そこにはいまだ大きな摩擦があります。

 私は弁護士として、一方の側に最大限有利な条件となる契約を結ぼうと奔走してきました。それも相手に気づかれないように条項を入れるのです。弁護士としては通常の業務ですが、今はその摩擦をなくしていきたい。AIが書く契約のほうが誰も不利にならない落としどころを導きやすいのです。いわば合意がフェアになります。

── 具体的には。

板谷 現在、企業の契約データや法務部門のナレッジを学習したAIを提供しています。事業部が契約に関する相談をしたとき、法務がどのように判断しているかをAIに学習させています。法務部への相談前に、AIが直接、事業部の契約相談を前捌きするサービスを今秋リリース予定です。

 将来的には、AIが社外の相手と直接交渉できる世界を実現したいと考えています。契約書をデータで送るのではなくモンテスキューのURLを送る。先方がURLを開くとAIが交渉し、交渉パターンも明瞭な選択肢で示して、契約成立まで完結させます。数カ月かかっていた契約交渉が一瞬で終わる世界です。

── 今後の展望は。

板谷 当社は創業から半年で、長島・大野・法律事務所から8億円の大型出資と事務所のノウハウを独占的に提供してもらいました。私が弁護士として所属する法律事務所です。この出資は「テクノロジーによる変革の波にどう向き合うか」という戦略的判断でした。なかなかできる決断ではありませんが、100人以上いるパートナー弁護士全員が合意してくれました。この期待に応えていかなくてはいけません。

 長期的に当社が解消したいのは日本のデジタル赤字です。会計もHR領域も、日本は基幹業務を外国ソフトウェアに依存し過ぎている。国家安全保障の観点でも法律領域のアプリケーションは国産で作るべきです。そしてゆくゆくは当社も、日本から世界へ「法務のインフラ」を輸出していきます。

会社概要
[設 立]2018年11月
[資本金]1億円
[所在地]東京都中央区
https://www.akitem.co.jp/